フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月2日(金) 晴れ

2009-01-03 03:07:21 | Weblog
  9時半、起床。妻と娘は駅ビル&東急プラザの福袋を買いに出かけた。御節料理とご飯と吸い物の朝食をとり、フィールドノートの更新。今日もいいお天気だ。

         

  午後、箱根駅伝の往路の結果を見定めてから散歩に出る。早大の2年連続の往路優勝はならなかったが、5区中3つの区で区間賞(しかも2つは区間新)というのは立派である。それでも優勝ならなかったのだから、5区(山登り)の重要性を痛感させられた。東洋大の5区を走った1年生は大したものである。でも、早大の5区の走者もよく頑張った。見応えのあるレースだった。復路も期待できそうだ。
  喜多方ラーメンの店で遅めの昼食(葱ラーメン)をとってから、電車に乗って、竹橋の東京国立近代美術館へ行く。今日は無料公開なのだ(午前中に行けば先着プレゼントまでもらえたであろう)。いつものように4階の明治・大正期の美術(文展開設前後)のコーナーから見て回る。菱田春草の「雀に鴉」という大きな屏風絵を見ていたら、隣にいた若い女性がガラスに顔をぶつけて、小さな音がした。大きな透明なガラスなので、絵に見入りすぎて、その存在を忘れてしまったのだろう。本人は恥ずかしそうにしていたが、微笑ましかった。ところが、数分後に、彼女はまたガラスにおでこをぶつけてしまった。続けて2度とは驚いた。本人も驚いたようで、おでこの脂がついたガラスの表面をあわててハンカチで擦っていた。私は思わず噴出したくなるのを我慢した。「雀に鴉」は非常に繊細な筆遣いで、とくにたくさんの雀の一羽一羽の動作や表情がきちんと描き分けられていて、自然と、顔を近づけてそれを確認したくなるのである。文字通り作品に「引き込まれて」しまうのだ。その結果、ガラスに顔をぶつける人もいる(でも、二度続けてはないよな)。私は正月らしい愉快な気分になった。

          
              この人です。

  「雀に鴉」の側には同じく菱田春草の画巻「四季山水」が長いガラスケースに展示されている。ただし、ガラスケースの長さは作品の半分しかないので、春の景色から始まって夏の景色、秋の景色、冬の景色と展開する作品(幅9メートルもある)の全体を広げて見せることはできず、今回の展示は後半の秋の景色と冬の景色のみ。前半は巻かれていて見えない。前半の部分も見たいなと思っていると、さきほどの女性も同じ気持ちらしく、巻かれている部分に顔を近づけて、なんとかしてちょっとでも見えないかと試みているではないか。いや~、面白いな、この娘。思わず「あなたの気持ち、よくわかります。春と夏の景色も見てみたいですよね」と声をかけようかと思ったほどだ。ナンパか。

         

         

         

  今日も前回来たときのように、写真撮影の許可をもらって、お気に入りの作品をカメラに収めていたら、うっかりして撮影禁止の表示のある作品にカメラを向けてしまい、係りの女性があわてて駆け寄ってきて、「お客様、この作品は撮影禁止です」とあやうく羽交い絞めにされそうになった。もう1秒遅れていたら私の指はカメラのシャッターを押していただろう。自爆テロを未然に防いだ女性SP(真木洋子)みたいだった。それにしても写真撮影OKとNGの基準がよくわからない。本美術館の所蔵ではなく、他から借り受けている作品がNGなのだろうか。売店で年賀状の返信用に絵葉書を10枚ほど購入。外に出ると、夕暮れ時が近づいていた。