フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月17日(土) 晴れ

2009-01-18 01:09:20 | Weblog
  6時半、起床。夜型人間の私にとっては信じがたい時刻である。ベランダに出ると東の空が白み始めていた(東京の日の出は6時50分)。トーストと紅茶の朝食。7時半頃、家を出る。今日はセンター入試の初日。試験監督を仰せつかっているのである。

         
                     夜の底が白くなった

  大学に着いたの集合時間(8時半)の少し前。私は予備要員ということで、監督員に欠席者が出ない限りは、夕方まで控え室で本を読んでいればいい。しかし、この時期、風邪をひいて欠勤という人がいてもおかしくない。だから昨夜は分厚いマニュアルを熟読をして、いつお呼びがかかってもいいように準備はしてきた。さて、欠勤の人はいるだろうか。と思っていると、前の方で「Kさんはいらしゃいますか?」と受付係の人が叫んでいる。K君は社会学の助手である。私は嫌な予感がした。しばらくして「大久保先生いらっしゃいますか?」と声がかかる。「はい」と返事をすると、「Kさんがまだ来ていらっしゃらないので、代わりに教室に入って下さい」と言われる。キターーーーー!部下の不始末の尻拭いを上司がすることになるとは・・・。あの野郎~、と思いつつ立ち上がり、同室の監督員たちに「よろしくお願いします」と挨拶をしているところへ、K君が青い顔をしてバタバタとやってきた。寝坊して遅刻したのである(布団から飛び起きて5分で家を出たとか)。間一髪セーフ。私はK君と交代の交代をして、席に戻った。もしあと5分遅れていたら、私は教室に入ってしまっていて、K君は控え室で針のむしろの上に座った気分でいなくてはならないところだった。ただでさえ予備要員は肩身が狭いのである。兵役で言えば丙種合格の予備役で、出征兵士を見送りながら、お国のためにお役に立てず申し訳ありませんという感じなのだ。最初のうちは「予備というのも立派なお役目ですから」と言ってくれていた先生方も、1時間目、2時間目・・・と試験が進むにつれて、お疲れになってくるのであろう、予備要員に冷たい視線を投げかけるようになっていく(気がする)。その視線がいたたまれなくて、3時間目あたりから私は控え室の外のフロアーの片隅のストーブの側のベンチに座って、先生方と顔を合わさないようにしていた。しかし、現代人間論系の助手のAさんが私を見つけ、「大久保先生、そんなところで何をしていらっしゃるのですか?」と明るく声を掛けてくる。天真爛漫な娘だ。あっちへ行ってくれ。私はストーブの火を静かに見つめているのが好きなのだ。最後の科目(リスニング)が終ったのが6時半を回ったあたり。先生方が引き上げてくる前に私は退散した。今日一日で、榎本博明・岡田努編『自己心理学①自己心理学研究の歴史と方法』(金子書房)を読み終えた。大いに勉強になった。

         

         

  本部キャンパスの北門を出て、「金城庵」の向かいのジャズ喫茶「ナッティ」の様子を見に行く。土曜日は午後6時までとのことで、ドアにはcloseの札がかかっていたが、外観の写真を撮っていると、中から「先生!」と言ってマスターが出てこられた。暮れの一週間、試験的に営業してみて、この7日に正式に開店したそうだ。まだバタバタしているが、お客さんもぼちぼち来てくれているらしい。店の中に入れてもらって、写真を撮らせてもらう。マスターはいかにもジャズ喫茶のマスターという感じに見えるが、ついこの前まで蒲田で「サッチモ」という名前の花屋さんをされていた、とても優しい、物腰の柔らかい方である。ジャズ喫茶というと素人はうっかり入れないようなイメージがあるかもしれないが、全然そんなことはない。飲み物はオール500円だから、ジャズをBGMに読書やおしゃべりを楽しむつもりで行ってみてください。「大久保先生のブログを見て、やってきました」と言えば、「あっ、嬉しいな」とマスターはプライスレスの笑顔で迎えてくれる(はずです)。