南草津駅の近くの会場で、河合塾マナビスの特別ライブ授業を開催しました。
高校3年生は、共通テストから次の入試へ全力で走る。
じゃあ高校2年生も、その次の春へ走り始めますよ。そういう特別講義です。
河合塾マナビスの人気講師に来てもらいました。
普通ならば画面ごしに見る先生が、目の前でスイスイと鮮やかに。そしてパワフルに。
話し方、立ち居振る舞い、動きなどもカッコイイですね。
前川先生、野田先生、真壁先生に加野先生に寺嶌先生…河合塾マナビスの校舎の先生たちが見守っています。
春の向こうの、次の春へ。
中3は、県立高校の特色選抜&推薦入試。
県内の私立高校の入試が終わって、ホッと一息、ノンビリしましょうか…という休憩もなく県立へ。
この入試は倍率が高いし、問題は甘くない。ビシッ、バキッと、かなりの難問が出ます。
ここでリズムを崩さずに、春に向かって行くよ。
トランプ大統領が、カナダ、メキシコ、中国からの輸入について関税をドドーンと上げるぞ!と脅す。
こんなのを「爆上げ」と言うのかも。関税の爆弾。
では、生徒諸君よ、この機会に関税について復習しましょう。
関税という単語が登場するのは、まず地理の北米自由貿易協定。
NAFTA(ナフタ)北米自由貿易協定
North American Free Trade Agreement の頭文字を取ったもの。
米国、カナダ、メキシコの3ヵ国間で結ばれた経済協定で、1992年に署名された。
商品やサービスの貿易障壁を撤廃し、国境を越えた移動を促進することに加え、公正な競争条件を促進すること、投資の機会を拡大すること、知的財産権の保護や執行を行うことを目的とした協定。この協定が成立して以降、メキシコの経済は発展し、3ヵ国間の貿易は大幅に拡大しました。
しかし、加盟国によるNAFTA再交渉の結果、2018年10月にNAFTAを米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に置き換えることに合意し、NAFTAは効力を失いました。
簡単に言うと、北アメリカの3か国の貿易を活発にしましょう。でも、アメリカ合衆国の自動車メーカーが不利になるのはダメだからな。
という仕組みです。
次に出てくるのは、1858年の日米修好通商条約。
これが不平等条約で、日本は、関税自主権が無かった。
そして外国人の犯罪について、領事裁判権を認めてしまった。
領事裁判権(治外法権)は、悔しいけれども、まあ仕方ないですね。当時の日本は江戸幕府でありまして、憲法が無い、刑法も刑事訴訟法も無い。警察制度も、裁判所も刑務所も無かった。ドラマ「大岡越前」の世界です。
日本に来る外国人にしてみれば、腹切り、打ち首、島流し…。そりゃまあ、自国の法律に従って領事さん(外交官)に判断してもらうのがいいでしょう。
教科書には、海難事故で日本人の乗客が犠牲になり、イギリスの船員は助かった。しかし、処罰されなかったり、軽かったり。それはケシカラヌじゃないか!という「ノルマントン号事件」が出てきます。
さて関税自主権。
外国から持ち込まれる製品に関税をかける。外国の製品は高価ですよ、と。これによって日本国内の産業を守る。つまり、関税は貿易というゲームのゴールキーパーです。と、私は説明しています。
日本は、工業化が進んだ欧米諸国とゴールキーパー無しで試合をさせられた。一方的に外国に点を入れられてしまう。繊維産業などが外国製品に圧倒されてしまったのです。
領事裁判権の解消は意外に早くて、1894年に陸奥宗光が達成。
関税自主権は1911年になって、やっと小村寿太郎が解決しました。
これで日本チームにもゴールキーパーが登場して、外国とフェアな競争をする時代へ。
で、アメリカ合衆国の関税のこと。
関税を上げると、アメリカの消費者にとっては外国製品が値上がりします。困るのじゃないか。「だからアメリカ製を買いましょう」と言われても、アメリカで製造されている商品にはロクなものがないのじゃないか。
ずっと前に、日本製の自動車がアメリカで大人気になった。
性能がいい。
コンパクトで、デザインもいい。
燃費が素晴らしい。
故障しない。
そして値段が安いのに、いつまでも長く乗れる。
アメリカは広い国で、はい、砂漠や荒野、山岳地帯で故障すると命にかかわるから、日本車が安全だ。そういう面もあるのだとアメリカ在住の日系人が言っていました。
自動車産業の街・デトロイトでは、アメリカの自動車会社の労働者が日本製の自動車をハンマーで壊すパフォーマンスをしましたなあ。
でも、日本製の自動車が良い自動車だから売れたわけです。
さて、トランプ大統領、そのあたりは理解しておられますかなぁ。関税というハンマーを振り回してもダメだよ。
追加。
カナダ、メキシコへの関税の上乗せは、はい、延期しましたね。
しかし、ハッタリで勝負するのだなあ。
中国への関税は、どうなさいますか。
中国からアメリカへ持ち込まれているという合成麻薬フェンタニル。アヘン戦争のしっぺ返し…でもなかろうが。
*時事問題が高校入試に詳細に出てくることはないから、あまり気にしないで。
教科書、新研究にある範囲で、確実に理解しておきなさい。