金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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19:大崎善生 『ドナウよ、静かに流れよ』

2005-05-27 14:16:28 | 05 本の感想
大崎善生『ドナウよ、静かに流れよ』(文藝春秋)
★★★☆☆

ウィーンの心中事件で亡くなった日本人女性の人生をめぐる
ノンフィクション小説。
「ああ、こんなふうに、手紙や日記が死後、
不特定多数の人の目にさらされるのはいやだな」
というのが最初の印象。
ノンフィクションを読んだのが初めてなので、
これをどううけとめていいのか迷います。
「すごいと思うけど、好きじゃない」というところかも。

人間には多面性があり、見る人によってものごとのとらえ方は違う。
ささいなことに思われた過去のできごとが、
重なりあって取り返しのつかない悲劇へ発展してしまう。
ある面ではとてもリアリティを感じる作品。
ただ、作者の「美しくやさしい少女」という解釈と、
生み育ててくれた両親への傲慢で近視眼的な言動が
ちぐはぐな印象。
「多面性」に集約できないのです。
死ぬ間際で両親へ残した、呪いの言葉は忘れられません。

コメント
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