金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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16:永井路子『この世をば(下)』

2022-01-22 11:20:49 | 22 本の感想
永井路子『この世をば(下)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化!
姉・詮子、妻・倫子などの助けもありながら、
道長は三十歳にして遂にトップの座につく。
ライバルと目されていた兄・道隆の長男伊周の失脚もあり、
道長は生来の平衡感覚で宮廷政治を仕切り、
「一家立三后」と栄華を極める……。
表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の
素顔を見事に浮かび上がらせた名作。

****************************************

平安朝の貴族たちが、
「病気や死は怨霊/恨みのせい!」
という発想だったのは知っていたけれど、
身内の命を救うために、
「自分が追い落とした政敵を復帰させて!」
って帝に本当に懇願しちゃうの、今の感覚だと相当面白いな。
そうして復帰させた伊周を、また呪詛の疑いをかけて追い込むの、
いい加減にしろって思うが……。

相手が中宮だろうと天皇だとうと関係なく、
邪魔な人物の大切な日に、自分のイベントをぶつけて
自分のほうに廷臣たちを集めてしまい、
相手のプライドをへし折る。
本当に奢った権力者の振るまいといった感じ。
この作品では「権力という名の魔鳥」で説明をつけていたけれど、
目も悪く、耳も聞こえなくなりつつあった三条帝を
追い込むの、今の感覚だと人道的にかなり問題ありだよ。

息子の顕信が突然出家すると言いだし、
母親である明子に対して
「もうちょっとしっかりしてくれないと!」
とぷんすかしていた道長が、泣いている明子を見たとたん、
「俺が悪かった!」
になるの、おかしかったけど、だからってこの後、
高松系の子どもたちを引き上げたりしないんだよな~。
後ろ盾である父親が失脚すると、
たとえ権力者の妻になっても、妻自身もその子も不遇……。
ここのところ、『望みしは何ぞ』でどう書かれているのか
読むのが楽しみ。




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大河ドラマ「草燃える」 総集編 第三回

2022-01-22 09:55:53 | 大河ドラマ「草燃える」総集編レビュー
第三回「征夷大将軍」

【あらすじ】

平家討伐後、頼朝と義経の溝はさらに深まり、
義経は頼朝に追われます。
義経の子を宿した白拍子の静(しずか)は頼朝に捕えられ、
生まれた男子は殺されます。
文治5年(1189)、義経は奥州・衣川で自害しました。
建久3年(1192)、頼朝は征夷大将軍に任命され、
鎌倉幕府を開きます。
政子は次男・実朝(さねとも)を産み、頼朝は栄華を極めます。
7年後、幕府の地固めを進める中、
頼朝は落馬して命を落としてしまいます。

**************************

勝手に任官した御家人にブチ切れる頼朝。
全成が、

「本当は怒っていないよね?
 九郎に悪気がないとわかってるでしょ。
 手柄を誇示するのも、兄上に褒めてもらいたいだけ。
 どうしてあいつの無知を哀れんでやらないのです」

って言うの、なんかキュンときちゃった。
義経のこと救いがたいアホ、害のある人間だと思ってるが、
同母弟なのでそれなりに庇いたい気持ちもある。

鎌倉に入る前に追い返された義経。

使いの者「胸に手をあてて考え得てみられよ!」

いや、胸に手をあてただけで気づくようなら、
こんな事態にならんやろ……

案の定、

義経「わからない」「どういうことなんだ!」

だよね~~!!

奥州までやってきた頼朝が衣川館で義経を思って泣くの、
「人前で……?」という違和感。

第三回は頼朝の死去で終了。
大江広元の出番が多いのと、
源通親にもちゃんとスポットライトをあててくれているのが
うれしい。
ここまでの義時は、いてもいなくても大差ない脇役。


【その他いろいろ】

・アグレッシブ大江広元・三善康信
 「大軍を差し向けて朝廷をびびらせるべし!」
 承久の乱のときのエピソードを踏まえての前振りね。
 
・あれ、義経、最期のシーンで「忠信」って言った!?
 生き延びて奥州まで一緒に来られた設定?

・出てくる赤ちゃん、みんな可愛いな!

・姫の前は、このドラマでは「野萩」という名。
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