金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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112:綿矢りさ『手のひらの京』

2022-05-24 21:34:36 | 22 本の感想
綿矢りさ『手のひらの京』
★★★★☆4.5

【Amazonの内容紹介】

京都に生まれ育った奥沢家の三姉妹。
長女の綾香は図書館勤務で三十一歳。
のんびり屋だが結婚や出産に焦りを感じはじめるお年頃だ。
負けず嫌いの次女、羽依は、入社したばかりの会社で
さっそく社内恋愛に勤しむが、
女性社員からのいけずにも悩まされる。
そして、理系の大学院に通う三女の凛は、
この町を愛しながらも息苦しさを感じ、
家族には内緒で新天地を夢見ていた。
春の柔らかな空、祇園祭の蒸し暑い宵、町を囲む紅葉した山々、
夜の嵐山に降る雪、……三人それぞれの揺れる思いを、
美しい京の四季が包み込む。
「こういう小説をずっと書きたかった」。
綿矢りさがはじめて故郷を舞台に描いた、愛おしくやさしい物語。

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ずっと積んでいた本。旅行を機に、ようやく読み始める。
「綿矢版『細雪』」というのは、
解説を読むまで思いいたらなかったけれども、
確かに構造としては『細雪』なのかも。

凜が本当に異性に興味がなく、それを気に病むでもなく、
恋愛めいたイベントが一つもないままに終わるのがよかった。
世の中、「恋愛しなきゃいけない」ようなムードが強すぎる。

「いけず」やストーカー男に対する羽依の反撃の場面が
本当におもしろいんだけども、スカッとして終わらずに
その反撃ゆえに恋を失ってしまうあたり、
「実際はそうだよね……」と妙にリアリティがあってしょんぼり。
彼氏が先輩相手に強く出られないのも、
羽依にドン引きしちゃうのも、残念だけどもわかるのよ……

 
コメント
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