永井路子『岩倉具視 言葉の皮を剥きながら』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
明治維新の立役者の一人、岩倉具視。
下級公家に生まれ、クーデターの画策などで
幾度となく追放されながら、
いかにして彼は権力の中枢までのぼりつめたのか。
本作の構想を長年温めてきた著者が、
卓越した分析力と溢れる好奇心で史料と対峙。
「尊王攘夷」や「佐幕」といった言葉を剥きながら、
新たな岩倉具視像を立ち上げることに成功した
永井文学の集大成!
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柳原白蓮が農家に里子に出されていたのは知っていたが、
岩倉具視の息子もそうだし、
岩倉の乳母は農家の妻だったとのこと。
平安~鎌倉期の貴族とか、戦国・江戸期の武家の乳母って、
下級ながらも貴族や役人、武士の妻・娘のイメージ。
公家の乳母が農婦って、かなり意外に思えるのだけども、
この時代だと地位に対する考え方が
だいぶん変わっていたのかな……
明治新政府を主導したメンバーの多くは下級武士で、
明治維新を機に藩主から権力を奪い取ってしまったのであるが、
公家サイドでも下級公家が摂関家から
地位を奪ったのだなあ。
平安時代末期で家格が固定されて、
それが幕末まで続いていたというのもすごい。