朝比奈あすか『ななみの海』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
児童養護施設で暮らす高校生のななみ。
「馬鹿にされるな」という祖母の言葉を胸に、
「馬鹿にされるな」という祖母の言葉を胸に、
医学部進学を目指し受験勉強に励む日々。
ダンス部最後の発表会、初めての彼氏、
ダンス部最後の発表会、初めての彼氏、
進学費用のためのアルバイトなど、
高校生活を色濃く過ごすなか、
ななみが自分の意志で選択した道とは――。
十代の心許なさや揺らぎを繊細に掬いとり、
十代の心許なさや揺らぎを繊細に掬いとり、
前途を温かく照らす青春エール小説。
****************************************
先輩から借りた本。
雑誌掲載時に途中まで読んでいて、続きが気になっていた。
最後まで読めてよかった。
児童養護私設で暮らす女子高生の青春を
雑誌掲載時に途中まで読んでいて、続きが気になっていた。
最後まで読めてよかった。
児童養護私設で暮らす女子高生の青春を
描いているのだけれども、
ヒロインのななみが良くも悪くも等身大で、
プライドが高く「自分は他の子とは違う」という態度を
ヒロインのななみが良くも悪くも等身大で、
プライドが高く「自分は他の子とは違う」という態度を
表に出してしまうし、恵まれた家庭環境の子に冷淡で、
すぐに人にイライラするし、口の利き方も感じが悪い。
そういう欠点をたくさん持った子だからこそ、
そのふるまいをした後の自己嫌悪や後悔の念も身に迫るし、
同じ施設の年下の子たちに対する思いやりや
みえきょんとの友情に心打たれる。
そういう欠点をたくさん持った子だからこそ、
そのふるまいをした後の自己嫌悪や後悔の念も身に迫るし、
同じ施設の年下の子たちに対する思いやりや
みえきょんとの友情に心打たれる。
ななみが「恵まれている」と感じている子たちにも
それぞれにつらさや苦しみ、生きづらさを抱えていることが
示されていて、重層的な物語になっているのもよかった。
大人のふるまいによって子どもが道を踏み外すのを
いくつもの例を交えて描いているために、
「いい大人になる」というななみの決意に、
「ほんとうにそうだね」とうなずきたくなる。
「いい大人になる」というななみの決意に、
「ほんとうにそうだね」とうなずきたくなる。