金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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195:芦沢央『悪いものが、来ませんように』

2022-08-27 17:36:03 | 22 本の感想
芦沢央『悪いものが、来ませんように』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

自分の娘への強い愛情を抱える奈津子。
助産院の事務をしながら、不妊と夫の浮気に悩む紗英。
二人の異常な密着が恐ろしい事件を呼ぶ。
「最後まで読んだら、絶対もう一度読み返したくなる」話題作、
ついに文庫化!

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初めての作家さん。
これも電子書籍で読んだので、
帯もあらすじも見ないままの状態で読み始めた。

前情報なしで読んだほうがいいね。

以下、ネタバレ。










いわゆる叙述トリックが使われた作品。
親密すぎる女友達同士かと思いきや、
実はそうではなかった、と後になってから判明する。
紗英と奈津子がいつ出会ったのか、とか、
紗英と奈津子はどういう関わり方をしてきたのか、とか、
なんかぼかされているな……とは思っていたけれど、
奈津子の結婚・出産と紗英のそれとの時期のずれには
まったく気づかなかった。

叙述トリックを使用した小説は、
「それが使われていなくても面白い話であってほしい」
という願望がわたしにはあるのだけども、
(トリックのためだけに存在する話は、
 時間の無駄だった、と思ってしまう)
これは十分におもしろかったし、
叙述トリックだったと明かされることで
また別の世界が見えるところも好き。

たとえ男女の働き方に関する差別が是正されて、
男性が主夫として子育てをメインで担当したとしても、
父ー息子あるいは父ー娘の間には、
母ー娘ほどの愛憎は発生しない気がするんだけど
どうなんだろう。


コメント
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