金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯33

2022-08-28 21:52:40 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第33話「修善寺

今日も息詰まる45分であった。
伏線となる「武蔵国をめぐる重忠と時政の間の溝」を
頼家暗殺と絡めて自然に出してきたの、
本当に情報処理が上手い。

頼家、今回もかわいそうだった。
願いを受け入れられないとわかっていても、
自分の存在をアピールするために
鎌倉に要求を送らざるをえないし、
素直に「力を貸してくれ」と平六に言ったのに
あっさり断られるし。
最後、善児とのバトルでちゃんと互角に戦い、
(善児に隙が生じたにしても)太刀を浴びせて
面目を保てたの、よかった。
金子大地さん、すごーく良かったなあ。
頼家のプライドの高さと、孤独や弱さ、
内にあるいろいろをしっかり表現していた。

政子と実衣ちゃん、仲直りしたかと思ったのに。
政子に向かって
「実朝を育てたのは私、余計な口出しはしないで」
と言い放つ実衣ちゃん。
息子には政なんかせずに和歌でも詠んでいてほしいという
政子の発言も甘っちょろくてどうかと思うけど、
あまりにも不遜では。
源仲章を連れてきて、三善殿のメンツをつぶすし。
仲章が息子を殺した男だってこと、
実衣ちゃんは知らないのね。

「おかしい」「どうかしてる」「間違ってる」と
自分を否定する息子を、小四郎は「かつての自分」だと
セリフでも説明。
頼朝も、小四郎のこと、そういうふうに見てたのね、
きっと。

タイトル「修善寺」は、頼家が殺される場でもあり、
かつてここで両親を殺した男を、トウが自ら殺す場でもあり。
ダブルミーニングになっていることの多いタイトルも
毎回おもしろい。
「宗時を殺したのが善児」とわかっても、
「必要だから」という理由で
小四郎は善児を殺さなかったけれど、
小四郎にバレたという時点で
梶原のいう「天運」は尽きたんだな。
ここもエピソードの積み重ねの妙。

【その他いろいろ】

・ 受け継がれる偽ドクロ。
 もう捨てたほうがいいよ、呪われてるよ、それ!

・頼家は実朝のこと、どう思ってたんだろ。
 当時、貴人の子は乳母一家に養育されていたから、
 同母兄弟といえどもあんまり思い入れないのかしら。

・鎧をつけた小さい実朝、可愛かった。
 三善殿の説明も微笑んで聞いてて、人柄が現れてる。

・予告で頼家を煽ってたから、平六が調子に乗った北条を
 ぎゃふんと言わせるために頼家をそそのかすのかと思ってた。
 本音をぶつけてきた頼家の頼みも、あっさり断っちゃった。
 まあ、一族の命運を背負った立場で、
 勝ち目のない側につかないよね。

 ・「次の執権は政範?」と訊くりくさんに、
 時政パパは答えをはぐらかす。
 宗時の死に際して、小四郎に
 「これからはお前が北条を引っ張っていくんだ」
 と言ったのもあって、さすがにりくさんの希望に反しても
 「小四郎が後継者」路線は潰さないのね。

・実朝の妻になる坊門の姫について、
 今回は「身内」と言っただけで詳しい説明はなかったけど、
 後鳥羽院にとっては「母親の姪、妻の妹」だから
 政治的にはかなり優遇した選択。

・鎌倉=ボロ屋しかない田舎。
 京の人間、地方をなめくさってるから……。

・大江殿、一度切り捨てると判断したら
 とりつく島もない……

・時房がいいこと語ってるのに聞いてない小四郎。
 兄弟に対しては扱いが雑になるよね。

・八田どの、有能すぎる。

・義盛「どうして俺のとこ来たの?」
 小四郎「難しいことは考えずうまい酒が飲めそうだ」
 バカって言ってる……。
 義盛と巴、仲良しでなにより。

・一幡のことを思い出していた善児は、
 「一幡」の名を見て動揺してしまい、
 頼家に斬られたあげく、トウに殺害される。
 もうかつての善児には戻れなかったのね。
 頼家vs善児のアクションシーンにやけに尺を取るな~と
 思ってたんだけど、善児が退場するからだったのね。

・泰時は賢いけど、父親に似て、腕はあんまり立たない。
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196:ほしおさなえ『紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆』

2022-08-28 10:59:19 | 22 本の感想
ほしおさなえ『紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

ふじさき記念館にインクメーカーとガラスペン作家による
コラボ企画が持ち込まれる。
館長の一成は百花に協力を頼むが、
「インク沼」と言われるほど人気のカラーインクに
百花自身すっかり魅了されてしまう。
商品のネーミングに悩む百花。
ある夜、母の冬海から百花の父親の遺品である
万年筆を渡される。
作家だった父との会話を懐かしく思い出した百花は、
自分の名前の由来が童謡「春の小川」だと知らされる。
そして、企画会議で百花の出した童謡のタイトル案が採用され、
カラーインク単独でも商品化され発売されることに! 
しかし、製造数が上がったことで藤崎の本社の営業部、
一成の従兄弟浩介からの横やりがまたしても入り、
企画が本社案件になってしまい……!? 
紙に書く、思いを書く。そして、伝わる優しい絆。

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「お仕事もの」としての要素が中心ではないと思いつつも、
主人公のアイディアが毎回すぐに受け入れられ、
評判もよくて売れる、という挫折のなさが
やや気になっていたこのシリーズ。
上記の点は相変わらずなのだけれども、
今回は社内の人間関係に端を発した困難が
一冊の中の山場として設定されていた。
主人公が言いたいことをはっきり藤崎さんに
ぶつけるようになった、という成長が描かれていて、
すっきりした気分で読み終える。

水引のアクセサリー、画像検索で見るとそこまで……という
印象なのだけども、作中の描写だととても素敵なものに思える。

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