第33話「修善寺」
今日も息詰まる45分であった。
伏線となる「武蔵国をめぐる重忠と時政の間の溝」を
頼家暗殺と絡めて自然に出してきたの、
本当に情報処理が上手い。
頼家、今回もかわいそうだった。
願いを受け入れられないとわかっていても、
自分の存在をアピールするために
鎌倉に要求を送らざるをえないし、
素直に「力を貸してくれ」と平六に言ったのに
あっさり断られるし。
最後、善児とのバトルでちゃんと互角に戦い、
(善児に隙が生じたにしても)太刀を浴びせて
面目を保てたの、よかった。
金子大地さん、すごーく良かったなあ。
頼家のプライドの高さと、孤独や弱さ、
内にあるいろいろをしっかり表現していた。
政子と実衣ちゃん、仲直りしたかと思ったのに。
政子に向かって
「実朝を育てたのは私、余計な口出しはしないで」
と言い放つ実衣ちゃん。
息子には政なんかせずに和歌でも詠んでいてほしいという
政子の発言も甘っちょろくてどうかと思うけど、
あまりにも不遜では。
源仲章を連れてきて、三善殿のメンツをつぶすし。
仲章が息子を殺した男だってこと、
実衣ちゃんは知らないのね。
「おかしい」「どうかしてる」「間違ってる」と
自分を否定する息子を、小四郎は「かつての自分」だと
セリフでも説明。
頼朝も、小四郎のこと、そういうふうに見てたのね、
きっと。
タイトル「修善寺」は、頼家が殺される場でもあり、
かつてここで両親を殺した男を、トウが自ら殺す場でもあり。
ダブルミーニングになっていることの多いタイトルも
毎回おもしろい。
「宗時を殺したのが善児」とわかっても、
「必要だから」という理由で
小四郎は善児を殺さなかったけれど、
小四郎にバレたという時点で
梶原のいう「天運」は尽きたんだな。
ここもエピソードの積み重ねの妙。
【その他いろいろ】
・ 受け継がれる偽ドクロ。
もう捨てたほうがいいよ、呪われてるよ、それ!
・頼家は実朝のこと、どう思ってたんだろ。
当時、貴人の子は乳母一家に養育されていたから、
同母兄弟といえどもあんまり思い入れないのかしら。
・鎧をつけた小さい実朝、可愛かった。
三善殿の説明も微笑んで聞いてて、人柄が現れてる。
・予告で頼家を煽ってたから、平六が調子に乗った北条を
ぎゃふんと言わせるために頼家をそそのかすのかと思ってた。
本音をぶつけてきた頼家の頼みも、あっさり断っちゃった。
まあ、一族の命運を背負った立場で、
勝ち目のない側につかないよね。
・「次の執権は政範?」と訊くりくさんに、
時政パパは答えをはぐらかす。
宗時の死に際して、小四郎に
「これからはお前が北条を引っ張っていくんだ」
と言ったのもあって、さすがにりくさんの希望に反しても
「小四郎が後継者」路線は潰さないのね。
・実朝の妻になる坊門の姫について、
今回は「身内」と言っただけで詳しい説明はなかったけど、
後鳥羽院にとっては「母親の姪、妻の妹」だから
政治的にはかなり優遇した選択。
・鎌倉=ボロ屋しかない田舎。
京の人間、地方をなめくさってるから……。
・大江殿、一度切り捨てると判断したら
とりつく島もない……
・時房がいいこと語ってるのに聞いてない小四郎。
兄弟に対しては扱いが雑になるよね。
・八田どの、有能すぎる。
・義盛「どうして俺のとこ来たの?」
小四郎「難しいことは考えずうまい酒が飲めそうだ」
バカって言ってる……。
義盛と巴、仲良しでなにより。
・一幡のことを思い出していた善児は、
「一幡」の名を見て動揺してしまい、
頼家に斬られたあげく、トウに殺害される。
もうかつての善児には戻れなかったのね。
頼家vs善児のアクションシーンにやけに尺を取るな~と
思ってたんだけど、善児が退場するからだったのね。
・泰時は賢いけど、父親に似て、腕はあんまり立たない。