金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

映画:『宮廷画家ゴヤは見た』

2012-03-26 10:40:10 | 映画の感想
映画『宮廷画家ゴヤは見た』(ミロス・フォアマン監督)
★★★★☆

18世紀末のスペインで、宮廷画家という地位を得ながらも
権力を批判する絵画を描いていたゴヤ。
ゴヤに肖像画を依頼していたロレンソ神父が主導し、
カトリック教会は異端の取り締まりを強化する。
そんな中、ゴヤの絵のモデルとなっていた少女・イネスが
異端の疑いをかけられ、異端審問書に囚われる。
イネスの父・トマスに懇願され、ゴヤはロレンソ神父を
トマスら家族に引き合わせるが……

************************************

※ネタバレありですよ

ゴヤはあくまでも傍観者であり、彼の目を通してみた
動乱の時期のスペインを描いている。
うわあああ~!と叫びだしたくなるような、
理不尽で救いのないストーリーであった。
ロレンソに人生を狂わされるイネスに、
まったく救いがない。
処刑される父親と、それと知らず処刑の見物に興じる娘、
失った娘を取り戻したと思い込む正気を失った母親……
処刑シーンの絵面がシュール。
あんまりにも後味が悪くて全然好きじゃないんだけど、
最初から最後までドキドキハラハラさせられっぱなしの
構成はすばらしい。

ロレンソはセコい悪役といった感じ。
娘を取り戻そうと必死なお父さんに泣ける。
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NHK大河「平清盛」レビュー⑫

2012-03-25 20:44:51 | NHK大河「平清盛」レビュー
【第12話のあらすじ】

もののけの純愛、昼ドラの終焉。

**************************************

璋子危篤の知らせに取り乱した鳥羽院は、
夏に「水仙を持ってこい!!」と
『森は生きている』的無茶振り。
鳥羽は義朝のゲットした水仙を持って璋子の枕元にかけつけ、
引き離されて、扉越しに「璋子ォ~!」と連呼。
魔性のKY女ぶりがすっかりかげをひそめた璋子も、
「初めて人をいとしく思う気持ちがわかった」
みたいなことを言って、鳥羽を泣かせるのであった。
今までさんざんドロドロの昼ドラを展開してきたくせに、
最後は美しくまとまっちゃったな。
毎回ツッコミ入れながら見ていたわたしも、
第一話の鳥羽の純情青年ぶりを思い出して
泣けちゃったもん
清盛と義朝の若者2人をさしおいて、
結局このおっさんが一番の純愛、というオチ。
得子もいい人っぽくなっちゃったし、
いったいこれからわたしは、何を楽しみにして
このドラマを見ればいいのだろう……。

20余年におよぶおっさんの片想いに対し、
最近の若者の性は乱れております。

水仙ゲットして戻ってきた義朝は、由良姫に
「俺のこと好きなんだろ? 
 お前、役に立つから俺の子を産め!」。
東国で子種をまき散らしてきた成果か、
ツンデレ娘の扱いを心得てやがる……。

そして明子を亡くして
「誰も俺の気持ちなんかわかんないもんね!」
と中2病をぶりかえしていた清盛も、
自分に片思いしていることが判明した時子にいきなり
「もうお前でよい!」。
最後のこのくだりには、ほんとにポカーン。。。だったわ。
「時子に琵琶を弾いてほしくないのは、
 明子の音をかき消されたくないから」
というのが、時子に対する気持ちを示唆していたんだろうけど、
これは今までで一番の視聴者置いてきぼり展開。
長々と男女の機微を描かれても困るんだけど、
明子&時子初登場のときからあれだけ引っ張ってきたのに
なんだろう、このやっつけ仕事は。

御曹司2人の結婚はホントどうでもいいって感じだったけど、
とりあえずお前ら、御所で取っ組み合いのケンカすんな、と思った。
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31:北原菜里子 『少女マンガ家ぐらし』

2012-03-24 10:37:42 | 12 本の感想
北原菜里子『少女マンガ家ぐらし』(岩波ジュニア新書)
★★★★☆

図書館の児童書コーナーにこもっていた時に発見したもの。
初版は1993年。
「ティーンズハートで森美樹さんの本のイラストを描いていた人」
という認識しかなく、漫画も読んだことないんだけど、
おもしろかった~。
デビューのいきさつと思い出、漫画家の生活や悩み、
ストーリーの作り方について書かれているんだけど、
未知の世界なので、興味深かった。
以前、別の漫画家が、
「この時代になっても、漫画家の作業は超アナログ!」
というようなことを書いていたのを読んだことがあるけど、
今はパソコンで作業できるソフトもあるらしいし、
1993年当時とはずいぶん様変わりしているのかもね。
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DVD:『東のエデン』

2012-03-23 10:17:44 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
DVD:『東のエデン 〈1〉~〈5〉』
★★★☆☆

同僚の二次元氏のおすすめ。
『攻殻機動隊』と同じ監督だということと、キャラクターデザインが
羽海野チカだということは知っていたけど、
あんまり興味をひかれず見ていなかったのだった。

ストーリーは非常におもしろいんだけど、1クールでまとめるのには
話の規模が大きすぎると思った。
謎が残るといっても、あえて「想像の余地を残す」という形ではなくて
「枠に収まらなかった」という感じ。
小説や劇場版で補完してるのかな。

咲ちゃんはかわいいけど、平澤くんのリーダーシップの欠如を補う能力が
彼女にあったとは思えない。
そして、大杉くんかわいそう
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30:ピーター・フランクル『ピーター流らくらく学習術』

2012-03-21 19:25:20 | 12 本の感想
ピーター・フランクル『ピーター流らくらく学習術』(岩波ジュニア新書)
★★★★☆

仕事で読んだもの。
数学者で12か国語を操るという著者が、日本の社会を見て感じたこと、
自らが体験したことを踏まえて、学習に対する考え方や
自らの学習法を述べた本。
初版が1997年なのに、まだ増刷されているんだなあ……と
最初に思ったのだけど、それも納得の中身。
中学生や高校生に読んでほしいけれど、大人が読んでも勉強になる。

【メモ】
・Comparison is no reason(比較は理由にならない)
・トラデュットーレ(traduttore:翻訳者)はトラディトーレ(traditore:裏切り者)
・「知恵は万代の宝」。学校で勉強する一番大きな知恵は「勉強の知恵」、
 つまりどうやって勉強するか、どうやってわからないことをわかるようになるか(p.148)
・何かを勉強し始めるときは、まず一日どれくらい勉強できるかを測ってみる。

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29:鴨下一郎 『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』

2012-03-20 13:30:40 | 12 本の感想
鴨下一郎『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』(新講社)
★★★☆☆

仕事の素材もわりとワンパターンというのか、
「こういう内容って、よくあるよね」というのが多いので、
毛色の違うものを……と考えて、この本を選んでみた。
(結局使わなかったけど)
はやりの「捨てる」本は、ものだけでなく
人間関係や精神的な要素の整理もすすめているものが多いけど、
これも精神的なものを問題にしている部分が多い。
初版は2008年だし、目新しさはほとんどない。
それゆえに、しばらくたって思い返すと
「何が書いてあったっけ?」
と内容がほとんど記憶に残っていない印象の薄さ。
しかし、鬱々としているときに、この本の
「悩んでるくらいなら体を動かせ」
という部分を読んで、走りに行って気分が晴れた。
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NHK大河「平清盛」レビュー⑪

2012-03-18 20:45:35 | NHK大河「平清盛」レビュー
【第11話のあらすじ】

愛妻家の清盛は、明子の死に錯乱、坊主を蹴り飛ばす。
忠盛パパはいつも冷静。
盛国はホント、よくできた家臣であるよ。

**************************************

また平田満が見られるとは思わなかった!
かっこいい基章パパをありがとう!

東国に行っていた義朝は、館をカツアゲしたあげく、
ほうぼうで子種をまき散らしてすでに二児の父。
「子どもは見ちゃダメ!!」なシーンがあるから
うかつに子どもに大河ドラマはすすめられないよ……。
そして、「清盛」界最強のツンデレ娘・由良姫は、
為義にダメ出ししまくっていたのに、為義に
「うるせー!! 女は黙ってろ!!
と怒鳴りつけられると、
「義朝どのに会いたくて……」
と泣き出して素直に恋心を告白。
初回登場時からブレないキャラ設定。
やっぱり、男に怒鳴られたりののしられたりするのに弱い
マゾっ子だった

清盛のことを意識してるらしい時子だが、
清盛に存在自体を認識されていなかったことが判明。
時子が源氏物語読んでうっとりしてるのって、
10代の女の子がケータイ小説にはまってるのと同じだよね。

【今日の昼ドラ】

義清が出家しちゃって、ブロークンハートな崇徳帝。
義清ったら、前回母ちゃんに手出した上、出家に際して
崇徳のことまったく気にかけてなかったもんね!
「義清だけが心のよりどころだったのじゃ~
って、義清の同僚である清盛に言っちゃうあたり、
崇徳は璋子さまの子よね……と思った。
清盛の立場なし!
しかし清盛が、
「帝は鳥羽院の子じゃなくて、白河院の子なんだろ?
 オレもだぜ」
と言い出したのには、鼻白んだわ~。
ホント、身分をわきまえなさすぎる。

ヤケっぱちになったのか、自分の子が生まれた崇徳は
目をむいて鳥羽に反撃。
しかし、腹の中真っ黒な得子に騙されて、
院政を行えなくなった上にズッコケて、さんざん。

得子から呪詛の疑いをかけられた璋子さま。
「陥れられた!」という堀河に、
「陥れたのではなく、救うてくださったのじゃ……」
と宗教にかぶれたにわか信者のようなことを言い出し、
出家してしまうのであった。
得子が相変わらず腹の中真っ黒なのに比べ、
璋子さまは魔性のKY女ぶりが影をひそめてしまい、
物足りない。
このまま退場なんだろうか。さびしいなあ。
そういや、いつのまにか鳥羽院もスキンヘッドになってたね。
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28:たかはしみき 『はらぺこ おとりよせ便』

2012-03-17 15:04:31 | 12 本の感想
たかはしみき『はらぺこ おとりよせ便』 (集英社)
★★★☆☆

以前読んだ『まいにちトースト』がよかったので
これも読んでみた。
サンドイッチ以外のパンはあまり好んで食べないのだけど、
実際食べなくても『まいにちトースト』は
おいしそうだなあ~と夢がふくらむ本だったのでした。

今回のこれはお取り寄せ体験のイラストエッセイ。
掲載されていた雑誌『コーラス』は読んだことないはずなんだけど、
なぜかまるたやのチーズボックスのページだけ読んだ記憶が……
なんでだろう。
ぎょうざの丸岡のぎょうざは本当においしい。
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27:エミリー・ブロンテ『嵐が丘〈下〉』

2012-03-13 11:51:37 | 12 本の感想
エミリー・ブロンテ『嵐が丘〈下〉』 (光文社古典新訳文庫)
★★★☆☆

ヒースクリフのもとを逃げ出したイザベラは、
息子の養育を兄エドガーにゆだねたいと考えていたが、
息子はヒースクリフに奪われてしまう。
ヒンドリーの財産を奪い、その息子ヘアトンを作男に貶めた
ヒースクリフは、息子リントンをキャサリンと結婚させ、
エドガーの財産をも奪おうと画策するが……

***************************************

ようやく後半を読み終えた。
冗長に感じられて入り込めなかったせいかもしれないのだけど、
後半はやや失速気味?
どいつもこいつも性格が悪くてやかましく、
読むのに体力を消耗した。
娘のキャサリンのほうには、それなりに美点があって
ネリーが守ろうとしたり、ヘアトンが意識したりする
理由も理解できるんだけど、母のキャサリンのほうは
本当に最後まで何がいいのかわからなかったなあ。
邪悪な部分が引き合っていたなら引き合っていたで、
それ相応に説得力を持たせられそうな気もするんだけど、
ヒースクリフが異常な執念で死後の世界まで
追いかけようとしていた気持ちは最期まで理解できず。
なので、復讐の物語だとは思えても、
「愛」憎劇だとは認識できなかった。
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NHK大河「平清盛」レビュー⑩

2012-03-11 20:49:01 | NHK大河「平清盛」レビュー
【第10話のあらすじ】

義清が可愛い娘に家庭内暴力のあげく出家。

**************************************

【今日の昼ドラ】

自分の産んだ躰仁を東宮の地位につけようとする得子は、
鳥羽院に
「うーん、でも反対してるやつがいるんだよね~」
と言われ、
「反対してんのはあんたでしょ! もう知らない!
とブチ切れ。
崇徳帝の中宮の父である関白忠通に
「あんたの娘、子供いないから、ウチの躰仁を
 養子にすればいいじゃん」
と持ちかけて、見事息子を東宮の地位に押し上げるのであった。
そして元服した雅仁に、
「うまくやったよな。身分低いくせに国母かよ」
と言われて、
「人がいちばん言われたくないことを言うなんて、ほんと根性曲がりねッ!
 鳥羽院とは似てなーい! っつーかあんたも白河院の子じゃないの?
 鳥羽院にとっちゃあんたもいらない子ね!!
と大人げなさすぎる真っ黒発言。
そこへやってきた璋子が「取り消して!!」と大騒ぎするものの、
決して取り消さない得子であった。

それにしても、璋子が、まるでまっとうな母親のよう!
こんなの璋子さまじゃない!!
いつもの魔性のKY女・璋子さまはどこへ?
と思ったんだけど、西行いわく、自分と関係を持って
璋子さまは変わったらしいよ。
堀河局に
「救おうなんておこがましい!」
と言われたのに、自信満々の西行。
(堀河も、璋子の立場を案じる気持ちもあるだろうけど、
 西行が自分を踏み台にして璋子ゲットしたと思うと
 腹立たしいよね)
なんか今日は、西行のイケメンゆえの驕りが
やけに鼻についた回だったわ。
庭にいた璋子に会いに来たところなんて、
身分をわきまえない言動にほんとイラッと来たよ。

璋子が一株だけ残っていた水仙を見つけて涙しているのを見て
西行ったら、
「許さぬ! あなたを救えるのは自分だけなのに、
 まだ院のことを~!」
と言いながら、璋子の首を絞めてしまうのであった。
モロに妄想系ストーカー思考。
残念ながら彼も、いつの間にか、もののけウイルスに
感染していた模様です。

璋子ピンチの報を受けて、飛んできた鳥羽院は、堀河に
「説明するつもりない。逃げたくせに今更口出しすんな」
とけんもほろろに撥ねつけられちゃった。
なんかこの人、ほんとに誰にも敬意を払ってもらってなくて
かわいそうになってくる
もともと西行を気に入らなかった白塗り一族の頼長が
西行を呼び出して、
「イケメンで何でもできるからって調子乗ってんじゃねーぞ」
と院の前で璋子暴行の容疑でネチネチ尋問しても、院は
「で?」
の一言。
かけつけた璋子に
「咎めなければならないことは何もない。
お前が誰と何をしようと、もう知らないもんね!」
とか捨てゼリフを吐いて去っていくんだけど、
第一話での純情青年ぶりを思い返し、
まだ璋子のことが好きなのか~と思うと
なんか切なくなっちゃった。

西行の出家の理由は、最後になんかそれっぽいことを
言ってたけど、
「イケメンモテ男の挫折」
にしか見えなかったな。
璋子がふつうの人になっちゃって、本当に淋しい。
そして、清盛は、昼ドラの中にまぎれこんだ
少年漫画のキャラクターのような場違い感。主人公なのに!
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