富田常雄『武蔵坊弁慶(一)玉虫の巻 (講談社文庫)』
★★★★★
【Amazonの内容紹介】
源氏再興に義経と行動を共にし、
衣川で果てたわれらが弁慶は、
身の丈2メートル、130キロの巨躯にみなぎる怪力に似ず、
美女・玉虫との恋に身を灼く純情な青年でもあった。
正義感に燃えてふるった蛮勇のせいで比叡山を追われた弁慶を
待つものは……。
剛力無双のヒーロー・弁慶の波乱万丈の生涯を描く痛快巨編。
男の強さ、優しさ、哀しさがみなぎる、
NHK大型時代劇原作にもなった全10巻。
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小学生のときにのめり込んで読んだ、思い出の作品。
長く、小汚い古本しか手に入らなかったのだけども、
電子書籍化してくれてうれしい限り。
1巻は、比叡山を追われた弁慶の恋と義経との出会い、
斬首の場から逃亡するまで。
巨体と怪力とともに可愛らしさと優しさを持つ弁慶。
おじさんの印象があったのだけども、この時点ではまだ
二十代後半なんだな。
やきもちを妬いて拗ねる玉虫の媚態も可愛いばかり。
牛若の家来になる前、弁慶が彼をつけ狙いつつも
やり取りを楽しみ、すでに彼に惹かれるつつある様子が
感じられるのもうまい。
しみじみと良い。