若かりし頃、病院の救急外来での経験。4歳くらいの男の子がお腹が痛いといってお婆ちゃんにつれられて来た。男の子はただ「お腹、いたいの・・」とメソメソしている。話を聞いてもお腹いたいというだけ。「10歳以下では問診しても正確な情報は得られない」ということを思い出した。そこでお婆ちゃんに経過を聞いたが、「両親は勤めにいっていないし、あたしゃ、隣の棟にいるだけで何もわからん」とラチがあかない。腹部触診しても明らかな所見はないし熱もない。教科書の腹痛鑑別診断の表が乱数表のように頭を駆け回った。途方にくれていたら、いきなり当直婦長がでてきて「僕? ウンチ今日出た? それとも昨日は?」といって「じゃー浣腸しよっか」といってトイレに連れて行った。その後は別人のような笑顔で帰宅していった。こっちは冷汗ものだった。