その高齢婦人の高射砲のような目はこちらに照準がぴたりと合っており、着弾射程距離に獲物(私)が入ってくるのを待ち構えているようだった。私は「いいや、あの時はあの時で今回は発射してこないだろう、うん、そうだこのまま何事もなくすれ違えられるんだ・・・」と口に中でつぶやきながら、ジョギングを続行した。でも頭の中では「でも発射されたら無視すればいいんだ」とか「目を合わせたら最後、石になってしまうので目をはずせ」とか、よくないことも入り混じって、このわずか数秒の間で思いがめぐったのだ。そしてついに射程距離に突入した・・。