そんな刷り込みがあってよかった。開業後2年半が経過し、熱を出して咳が続くという患者さんをゴマンと診た。しかし今回のこの患者さんは、どこか「臭かった」のである(別に臭いがしたわけではない)。診察してもあきらかなcrackleやwheezingは聴取しない。X線をとったら左肺上葉にうっすら浸潤影がある・・。肺炎だといえば言えなくもない、過去のかるい結核の痕だといえばいえなくもない・・・がっ、どこか臭かったのである。「結核の疑いありますから痰を採ってきてください。診断出るまでマスクを必ず着用して下さいね」と念を押して採取容器を渡した。内心「結核でなかったら『このヤブ医者!』と思われるんだろうな」とover diagnosis(過剰診断)を懸念した。