とにかく患者さんは「お世話になりました」といって帰宅されるが、こちらは全くお世話していない。ただご自身で喋られてそのままお帰りになるのである。こんな時は私は医療をしているのだろうかと複雑な気持ちになる。でも患者さんは満足されているようなのでこれでもいいのだろう。このように自然収束してお帰りになる患者さんは、話をされている最中にこちらからの「インターセプト」は効を奏しない。満足されるまでただこちらは「ウンウン」と聞いているしか手はないようなのである。ところで大体、同じ話も2周目になると私はほとんど患者さんの話を聴いていない事実に気がついた。困ったことに「さて今夜の医師会は何時からだったっけ?」などと別のことを考えながら、相槌だけ「ウンウン」と聴いているふりをしているようである。ところがいつもこのような対応をしていたら痛い目にあった。