とにかくこのような腸閉塞→腹膜炎の患者さんに出会うのはこりごりなのである。今回の訴訟は医療側の非が認定される判決であった。どのような経緯か詳細を知らないが「手術をすれば助かった」という一文だけみて、結果論ではそうかもしれないが「手術が必要かの判断が難しい疾患」で、この判決結果は医療側には過酷なものと感じられた。裁判はいつも結果論でものごとが討議される。「こうしておけばこのような結果にならなかっただろう」と言うのであるが、実際はその証明は難しい。時に医師の鑑定人を選任するのであろうが、この鑑定人の選任方法にも問題がある。きちんとした医師が選任されるわけではない。「あ あの○○医療訴訟の鑑定医だけど、論文の数は多いけどほとんど手術もしないし病棟に来て患者を診たことがない医者ですよ」というのもいるのである。我々の朝のカンファレンスでもこのような症例では「手術必要」「いや必要ない」と喧々諤々の論争がいつもおこるのである。これだけ意見が割れることもあるため、訴訟の際に自分側に都合のよい鑑定医を選任するのは難しくはないのである。
このような判決がでるとリスクが高い分野に従事する医師は今後ますます減っていくだろうと感じる。それが怖いのである。
このような判決がでるとリスクが高い分野に従事する医師は今後ますます減っていくだろうと感じる。それが怖いのである。