吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

10月末日

2015年10月31日 06時12分55秒 | 日記
 さてもう10月末日である。本当に時間のたつのは早いし学が成るのも難しい。ただ毎日ダラダラと過ごしているわけではないが、自分が開業医になってあっという間の8年であった。

ようやく8年して開業後初めて2代目の医療機器を入れた。新機種の(といっても昔から発売はされている)大腸内視鏡であるが、細径で柔らかいものを購入した。女性で痩せた人や小柄で高齢の患者さんでは、現在使用している大腸内視鏡では「コシ」がありすぎ深部まで挿入しがたい。そこで今回新機種を導入したのだが、使い勝手は結構いいのである。

 最近の話しであるが、普段かなりひどい便秘に悩まされている患者さんである。
便潜血反応陽性で近医からの紹介で来院された。確かに前処置の下剤が腸内にたくさん残り腸内清浄度は著しく劣っている。とにかく前が見えないのである。
しかも腸の張りがなく、すぐに内腔がしぼんで視野が見えなくなってくる。また腹部手術の既往があり腸が癒着してまさに高度の挿入困難例なのである。以前の内視鏡機種では絶対に入らないだろう。今回の機種でも苦労した。
一番奥の盲腸までかなり挿入に時間がかかり、途中で何度もあきらめようかと思った。そして数十分後にはやめようと思ったが、ようやく一番奥まで到達しかけたその時、一番奥に重大な病変を発見した・・・。生検を何か所かおこなったが肉眼的には間違いないようである。

 もし新しい内視鏡でなければここまで到達していなかったろう。ということはこの重大な病変を見逃していたことになる。病気が見つかったということで患者さんには申し訳ないが、ほっと自分は胸をなでおろしたのである。新しい内視鏡購入してよかった。