吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

子宮頸がんワクチン その2

2015年10月28日 06時26分03秒 | 日記
 ワクチン後けいれんを起こした女児らの精査では、脳波異常はなく、MRIでも器質的異常は見つかっていないそうである。つまり痙攣の原因は不明なのである。原因は不明なのであるがワクチンを悪者にすれば話は落ち着くのであろうか? けいれんの続いている女児たちはとても気の毒でつらいことである。その女児たちの未来の幸せな生活も暗いものになってしまう。ところでこれが本当にワクチンのせいであるという根拠はどこから来ているのであろうか。もちろん彼らの結論を否定しているのではない。結論に至る医学的根拠はどうなのであろうか。「ワクチン接種後にすべて症状が発現した」ということなので、やはりこれが一番に疑われるのはしょうがない。しかしそれに間違いないと結論するに至る論理の展開に科学性を認めているのであろうか。医学論文で原因と結果の間に有意性が認められれば「関連がある」と言える。しかし原因と結果の間に有意性を認めない場合は「関連がない」と結論されるのではなく、「あるともないとも言えない。どちらか分からない」と結論するのが正しい考え方である。もちろん科学性がないということで彼らの行動を否定しているわけではない。彼らの行動根拠はきっと別の所にあるのであろう。