吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

子宮頸がんワクチン その3

2015年10月29日 06時32分12秒 | 日記
 したがって行政側では原因と結果の間に有意性を認めない→つまり「関連があるともないとも言えない」という立場をとっているが、ワクチン接種女児の保護者らは、科学的根拠はないが「関連がある」と判断してワクチン禁止の主張を続けていることになる。保護者たちの活動を決して揶揄しているわけでもないし否定しているわけでもない。一部の文献でこのワクチンは子宮頸がんの阻止効果は期待できないとの論文もあるらしいが、とりあえずこのワクチンにより将来、何千万人もの女性が恩恵をうけるとも言われている。もし将来的にワクチンが原因であるという科学的根拠が明らかになれば、結果的に彼らの今の活動は正しかったことになる。しかしもしワクチンが原因ではないと証明されたなら、現在、積極的接種勧奨を控えていることで接種を受けなかった女性の将来の恩恵を奪ったことにもなるのである。その責任はだれがとるのであろうか? 医学とは科学的に裏打ちされた根拠で前に進んでいく。しかし行政の施策は、その結論を待っている時間はない。どちらに転ぶにしても保護者側も行政側もそれぞれ主張した施策により、将来おこった結果に対して責任を負うことは当然のことである。どちらもそれなりに腹をくくって主張されることを希望する。