そういえば、その患者さんにインスリン注射を勧めたとき、「ああ、そういえば前に通院していた病院でも勧められましたよ」といっていたことがあった。おそらくその病院でも何回か勧められて、それが嫌になってうちの外来に通院するようになったのかもしれません。とするとまたどこかの病院の外来に通院しているのかもしれませんが、たぶんそこもいずれ時間の問題かも・・・? その他、何人か紹介状なく他の病院からうちに通院し始めている糖尿病の患者さんがいます。彼らもインスリンの話をするとパタッとこなくなるかもしれません。インスリン導入は手技よりも同意のほうが難しそうです・・。
器機の改良とともに楽にはなってきたとはいうものの、毎回、食事前の注射は確かに不便で苦痛であろう。しかし血糖のコントロールはとても重要であり将来的な心血管系合併症の予防には必要なことである。一般の人における毎日の自己注射のイメージはいまだに内服薬服用という感覚と同等ではない。なんとかこのイメージは変えていく必要があるのだが・・・。以前、内服でコントロールできない患者さんに数ヶ月前から徐々にインスリン注射のお話をしていたのであるが、あるときからパタッと来院されなくなってしまった・・・。これには弱った・・・。
この前、勉強会のあと皆で飲食店にいった。そこのトイレにいったところ小物を置く小さな棚の上に小さなものを見つけた。その形はコーヒーについてくる1回分の使いきりのミルクやガムシロップの山型容器に似ていた。封は開いていて中身はない。よく見るとインスリン自己注射用の針の容器だった。おそらくどなたか糖尿病の方で食事直前の注射指示が出ているのであろう。実際外出時にはこのようにトイレで注射をされるのであろうが、昔と比べて随分針も細くなり痛くなくなった。確かに面倒ではあるが次第に内服薬を服用する感覚になってきたようである。
5月も2週目に入りました。何だかもう夏日や所によっては真夏日にもなっています。つい1ヶ月前あたりは寒くてコートをきていたような気がします。今年は春らしい陽気がほとんどなく、冬からいきなり夏になったようです。おかげで?花粉症をお持ちの方は軽く凌げたとおっしゃられていますが、寒暖の差が激しいため喉をやられたり風邪をひく人がいまだあとをたちません。今年患者さんに「今の自分の症状は花粉症ですか風邪ですか?」とよく聞かれますが、どちらの症状も似ているので診断は難しいです。まあどちらでも処方薬にあまり変わりはないので、自分としてはどっちでもいいんですが(笑)。
高血圧患者さんの血圧を下げることのメリットは、服用によるデメリットをはるかに上回る。加齢による動脈硬化は高血圧を引き起こし脳卒中のリスクをあげる。また心臓や腎臓に対しても高血圧はよろしくない。現在では昔よりも高血圧症をより厳しく管理するようにいわれている。だから、たまさか降圧薬に依存性があったとしても、薬を服用し血圧を下げることには意義があるのである。起こりえない「依存性」や「耽溺」という事象にとらわれて、血圧管理のチャンスを逸するようでは患者さんにとって不利益である。ここまでくると「医療にともなう噂」は「隣の花子さん」や「都市伝説」みたいになっている感があり、なかなかやっかいである。
ぎりぎり高血圧かどうかの境目で投薬せずに生活指導の管理のみを行っている患者さんが何人かいる。時々話の中で「先生、薬を一度飲み始めるとやめられなくなるというのは本当ですか? だからは私も薬は飲まないようにしているのですけども・・・。」と。 これを聞いて驚いた。どこでこんなことを聞いたのか、降圧薬に麻薬や覚醒剤のような薬物依存症や耽溺があるとは思えない。まあ時に効かないこともあるが、飲めばとりあえず血圧はさがるし、飲まなければ血圧はまた元に戻るだけの話である。睡眠導入剤では次第に効き目が減弱して効きづらくなり内服量が漸増していくことはよくある。しかしこの話が元ネタだとしても降圧薬にまで話を広げるのは行き過ぎであろう。
本日より診療を開始いたします。さてゴールデンウィークも終わりましたが皆様におかれましてはいかがお過ごしでいらしたでしょうか? 自分は、昔こそよく遠出をしましたが、どこにいっても渋滞・混雑なので今では旅行はしません。今回は近場に買い物に行った以外ほとんど家におりました。都内では激安家電店がぞくぞくオープンしており本当に不景気なの?と思うぐらいでした。天候もついこの間は雪が降ったような感じでしたが、一転真夏のような暑さで体調維持が難しそうです。皆さんは如何でしょうか?
さて奥様の言うことを聞いて墓参りを止めれば、ご主人に恨まれる。きっと「人生最後の墓参りの機会を奪った憎き医者」と怨まれるだろう。もしも墓参りを許可して、向こうで少しでも具合が悪くなろうものなら、奥様から「ほらみたことか! だから止めてほしかったのに・・。このヤブ医者」と思われるだろう。一番いいのは、墓参りを許可し向こうに行っても患者さんが元気に歩くことができ、家人に迷惑をかけないことである。しかしうまく事が運ぶかは「神のみぞ知る」ところである。 まさに「究極の選択」、どちらを選んでも自分にとっては何一つ心休まるものはない。お願いだからお二方でよく話し合ってください。私は泣けてきます。とほほほ・・・。