吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

マイナンバー

2015年10月14日 06時14分07秒 | 日記
 何だか国民総背番号制度の議論がされていると思ったら、あまり盛り上がらないうちにマイナンバー制度導入された。ま 結局、これで税金のとりっぱぐれが防止できるんだろうけど、なんだか「へそくり」する楽しみさえもなんだかなくなったような感じである。

 さてクリニックも事業主であるが従業員のマイナンバーを管理しなくてはならなくなる。うちのような小さな事業所はまだ何とかなりそうであるが、大企業であれば、今後絶対漏洩する可能性は高くなる。新たな犯罪も出てくるであろう。すでにそれに伴う詐欺も起こっている。

 とりあえずうちで今一番大変なのは、その従業員のマイナンバーの管理方法、管理場所、使用方法、退職時の廃棄手順などを決めることである。そしてそれを決めたなら規定を作って定款に乗せなくてはならない。
 なんだって、それが一番大変な作業なんだが・・・。

 国は国民(事業主)に特定個人情報の管理という無理難題を押し付けて、漏洩した場合の罰則規定までご丁寧に作ったのである。そして税金徴収作業は楽になって、とりっぱぐれが減らせるのであるからこりゃ~万々歳の政策だったんであろう。

 こんなことになるなんて、なんで昔、マスコミはきちんと報道しなかったのか? それが悪い。
 反日的な報道ばかりしているマスコミは、国民の生活に根差した生活のチェック、報道を疎かにしたのではないだろうか?
 まったくなぁ~・・・。

発熱

2015年10月13日 05時42分51秒 | 日記
 3日前の土曜日、診療が終わって買い物に行き、帰宅したところなぜか腰痛と背部痛がありました。そして体がだるくて顔がほてる感じ。普段と様子が違うので熱を測ったら37.6℃ありました。
 最近、風邪や下痢で熱を伴う患者さんが多かったので「ああ自分もやられた」と感じました。でも必ず診察中はマスクもしているのにうつるときはうつるんですね。
 その後は下痢がはじまりました。お腹はゴロゴロして時々腹痛があり、腹部膨満感は続きました。

 その日は麻黄湯を服用したら熱は一晩で下がりました。でも連休初日は家で静養・・・。
 午前中からウトウト昼寝というか消耗して疲れたのか?

 おかげで連休の予定が大幅に変更になりました。
 やはり感染症は怖い・・・。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その6

2015年10月10日 06時22分33秒 | 日記
とにかくこのような腸閉塞→腹膜炎の患者さんに出会うのはこりごりなのである。今回の訴訟は医療側の非が認定される判決であった。どのような経緯か詳細を知らないが「手術をすれば助かった」という一文だけみて、結果論ではそうかもしれないが「手術が必要かの判断が難しい疾患」で、この判決結果は医療側には過酷なものと感じられた。裁判はいつも結果論でものごとが討議される。「こうしておけばこのような結果にならなかっただろう」と言うのであるが、実際はその証明は難しい。時に医師の鑑定人を選任するのであろうが、この鑑定人の選任方法にも問題がある。きちんとした医師が選任されるわけではない。「あ あの○○医療訴訟の鑑定医だけど、論文の数は多いけどほとんど手術もしないし病棟に来て患者を診たことがない医者ですよ」というのもいるのである。我々の朝のカンファレンスでもこのような症例では「手術必要」「いや必要ない」と喧々諤々の論争がいつもおこるのである。これだけ意見が割れることもあるため、訴訟の際に自分側に都合のよい鑑定医を選任するのは難しくはないのである。
このような判決がでるとリスクが高い分野に従事する医師は今後ますます減っていくだろうと感じる。それが怖いのである。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その5

2015年10月09日 05時15分56秒 | 日記
 開腹して壊死した小腸を見つけた瞬間、正直な気持ち「ああよかった」と思ったのである。普通に考えれば人の病気をみつけて「よかった」というのは倫理に反する。しかし正直な気持ち開腹手術に踏み切って、その判断が正しかったのであるからそう思わざるを得ない。手術のタイミングとしてはもっと早いに越したことはない。しかしここに至るまでにはものすごい労力と綿密な観察と、かなりの精神的な重圧感があった。もちろん受け持ち患者はこの人一人ではなく、毎日がいつもの勤務に終始するのである。この患者さん一人にかかりきりになるわけにはいかない。その中での緊急手術の判断なのである。来院直後から症状も検査所見もすべて陽性である腹膜炎患者の診療は難しくはない。しかしこの患者さんのように、症状や検査所見では判断できない腹膜炎患者さんを今まで何十人も経験した。その都度、冷や汗もかいたし、落胆し自責の念にかられたこともある。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その4

2015年10月08日 05時41分25秒 | 日記
 とても原因が何かあるような感じではなく、いわゆる加齢に伴う老衰状態と思えなくもなかった。呼吸が粗いので動脈血ガス分析をとってみたら理由の付かない酸血症(acidemia)(BEの低下)が見られた。しかし糖尿病の悪化ととれないこともない。本当にまよったが、唯一認められる軽度の腹部圧痛が気になったので開腹手術を決めたのである。患者は少し不穏状態であり意識は朦朧としていた。ご家族に話をしたが、正直「不必要な開腹手術」になるかもしれないというためらいがあった。同業者である医療側からいわせると、これで開腹手術に踏み切るのは「無謀」と言われるかもしれない。これでもし開腹して何もなかったら家族からきっと文句をいわれるであろう。文句だけならまだしも、この手術侵襲で患者の生命にまで影響があれば医療訴訟にもなりかねない。さていよいよ開腹してみると、小腸が約20cmほど捻転をおこし昔、虫垂炎の手術をしたところの腹壁に癒着して絞扼されていた。その20cmの小腸部分はすでにどす黒く壊死を起こし、穿孔しかけていたのである。その壊死小腸を切除して吻合して手術を終えた。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その3

2015年10月07日 06時01分26秒 | 日記
 昔の患者さんである。大学にいた時のことである。高齢のご婦人であるが糖尿病やごく軽い認知症もあったと記憶している。1週間前よりどことなく具合が悪いとのことであった。腹痛ではない「どことなく具合が悪い」というのだ。確か近医入院中であったが時々嘔吐して食欲がない、食事ができないとのことで転院してきたのである。しかし普通に会話はできる。腹部所見は、かるく圧痛を認めるのみで本人は「何、大した痛みではないよ」と。その他、軽度炎症反応はあるが、白血球正常範囲、発熱は微熱が続いている程度である。ただ食欲はなく、食べると嘔吐してしまうので点滴のみとしていた。X線所見は腸閉塞といえばそうであるし、そうともいえない。数日間、経過を見ていたが、だんだん元気がなく動けない状態となりこれはおかしいと思われた。しかしあいかわらず腹膜炎所見はないのである。本人も強い腹痛はまったく訴えない。腹部のCTをとっても腸管の浮腫がみられるのみで明らかなその他の所見はなかった。このような場合は肺炎が原因であることが多い。しかし呼吸器症状はないしX線で肺炎を疑わせる所見はない。とにかくどこかに徐々に悪くなってくる全身状態の原因があるのであろうが、その所見に乏しいのである。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その2

2015年10月06日 05時51分31秒 | 日記
 当該患者の治療を一部始終見たのではないため、はっきりとは断言できない。しかし腸閉塞の際に緊急手術が必要かどうかは、長らく外科や救急医学をやってきた自分でも難しいと痛感している。腹痛が強烈なものであっても緊急手術の対象にならない疾患はいくらでもあるし、また腹膜炎の所見がないものもいくらでもある。手術のタイミングが早ければ「手術は必要なかったんじゃないの?」と言われるし、手術が遅ければ生命が脅かされる可能性もある。一般的には腹部触診所見や熱の推移、そして白血球所見やX線所見などで判断される。しかし手術適応のある腸閉塞や腹膜炎でも、検査で所見がないものも多いのである。今まで何回も遅すぎて冷や汗をかいたことはあったし、また逆に手術が早すぎて家族から「手術は不必要だったのでは?」といわれたこともあった。この医学が進んだといわれる現代でも誠にもって厄介な疾患であるのだ。

医療訴訟判決「腸閉塞」 その1

2015年10月05日 06時41分37秒 | 日記
医師が腸閉塞に気付かず、手術が遅れて女性(当時63歳)が死亡したとして、女性の夫(67)らが、福岡県久留米市の病院の主治医ら医師3人に計約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9月4日、福岡地裁久留米支部であった。 太田雅也裁判長は「速やかに手術すれば救命できた可能性が高い」として同会と医師2人に計約4500万円の支払いを命じた。判決によると女性は2009年4月6日、腹痛を訴え、同病院(久留米市)を受診。急性胃腸炎と診断され入院したが、症状が悪化。腸閉塞と診断され、2日後に手術を受けたものの、同18日に敗血症で死亡した。太田裁判長は「問診やコンピューター断層撮影法(CT)検査などで腸閉塞の特徴的な症状が認められたのに見過ごした」などと医師2人の過失を認めた。(読売新聞 H27.9.6)

事の経緯や詳細が分からないので正確なコメントは難しいが、医療側には厳しい判決と思われる。腸閉塞における緊急手術の判断は極めて難しい。X線撮影やCT検査で腸閉塞の「診断」は可能である。しかし治療法の選択、特に「緊急手術が必要かどうかの判断」は医師の勘によるところが大きいからである。

10月のお知らせ 続き

2015年10月03日 05時47分08秒 | 日記
 さて27年度のインフルエンザワクチン接種は一昨日の1日より開始されましたが、早速何人かの方が接種に来られています。
 実はすでに夏ごろから発熱でインフルエンザ陽性の患者さんが少しずつ発症しているという報告が医師会からありました。その後、当地区でも高校生の方が一人おりましたが、特にひろまっていないようです。

 しかし10月になり空気も乾燥してきたようです。最近発熱の患者さんも多く少しインフルエンザを疑う方もいるのですが、まだまだ流行の兆しはないようです。

 早めの接種、そして1か月後の2回目の接種をお勧めします。


 それから11月一杯で27年度の特定健診は終了いたします。
 来月は、駆け込み受診が多く混乱が予想されますので、ぜひ今月のうちに受診されるようお願いいたします。

10月のお知らせ

2015年10月02日 06時23分00秒 | 日記
 10月より27年度のインフルエンザワクチン接種が始まります。

 今年度よりワクチンが4価(4種類のウイルスに有効)ワクチンとなり値上げされました。
 そのため65歳以上で区の予診票をお持ちの方は実費分2500円に値上げとなります。

 また全額自費でお受けになるかたは当院では従来の3150円から3500円に値上げさせていただきます。
 当院で今季2回接種されるかたは2回目の接種は2500円の格安価格で提供させていただきます。

 以上よろしくご理解下さるように。

大便が出ない その6

2015年10月01日 06時34分19秒 | 日記
 焼肉の食べ放題なんてのはそんなに怖くない。野菜より肉の方が消化ははるかにいいのである。でも白菜だけは消化されないで白菜の切れ端ままで小腸に流れていきやすい。そのまま腸の狭窄部位に引っかかったら腸閉塞である。野菜は健康にいいのでたくさん食べなさいというのは一般論であって、便秘している一人一人にあてはまるわけではない。それを判で押したように皆が口を揃えて野菜礼賛するのもどうかと思う。時々医療従事者も間違えて便秘の患者がいたら、誰かれなく「とにかく野菜を多めに」なんて言っていることもあるようである。数十年前に腹部手術の既往のある方がうちのクリニックにこられた。このように散々「野菜を多く食べろ」と病院で今まで指示されており、時々腹痛(腸閉塞)を起こされていた。「野菜はだめです。特に大きく切ったものは詰まりますよ」と指示したら、「そんなこと言われたのはこのクリニックにきて初めてだ。今までの数十年は何だったのか」と言われた。ま でも冬場の白菜鍋は旨いのでこれを控えさせるのも気が引けるのですが・・・。