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消えた円空仏!ドジ探訪始末記

2007-08-28 17:11:25 | よしなしごと
 過日、岐阜の中濃を取材するという記者に同行したのですが、これがとんでもない珍道中に・・。

 その経緯はともかく、この岐阜県地図をみてください。
 今回でかけたのは、この赤くV字型をした関市というところです。一見して何とも奇妙な形状だと思われるのではないでしょうか。岐阜県人でも、現行の関市がこんな格好だということを知らない人が多いと思います。

        

 これぞ平成の大合併がもたらした奇天烈な結果なのです。
 地域の住民の繋がりや風俗習慣など全く無視した、ただただ地方交付税などの経済効果のみを目当てとした乱暴な合併のなれの果てなのです。

 もともとの関市は、この図のV字の底辺にある岐阜市(赤点がある)に隣接したこぢんまりとした地方都市でした。
 それがかの平成の大合併で、隣接する、というより、隣接の隣接をも含めて合併をした結果、こんな奇天烈な市が出来上がったのでした。何と、西北の端は福井県にまで達しています。
 西のウイングは武儀郡の武芸川町・洞戸村・板取村、そして東のウイングは武儀町・上之保村、ということであのV字型は出来上がったのです。

            

 さて大合併はともかく、私たちが向かったのは、かつて上之保村といわれた長良川の支流、津保川沿いに展開するのどかな山村でした。
 図示すると、上図の赤いところでありV字の東ウイングの先端に当たります。

 ところで、ここからが大笑いなのですが、私たちが向かったのは、この地区に沢山ある円空仏を求めてで、とりわけ目玉は、数ある円空仏の中で、唯一女性を彫ったというその女僧像に出会うことでした。
 写真で見る通り、そのほほえみは得もいわれず魅力的で、この地区の観光用のキャッチフレーズはこの「ほほえみ」なのです。そういえば、途中にあった温泉も「ほほえみの湯」とありました。

       
          
 目指す仏像は、この地区でもさらに奥の方だということで、一度、その所在を確認すべく、車を止めて野良仕事をしていた人に、こちらの方向で良いのかを尋ねてみました。

 いかにも地元の人という感じのそのおじさんは、にこやかにそちらを指さし、「あと五分ぐらいかな」と教えてくれた。
 しかし、幾分怪訝そうな顔をして、「ところで、何しにゆかっせる」と訊いてきたのです。
 何しにっていったって、円空仏を見るほかないのでその旨を告げると、幾分あきれかえった表情で、「いっても何にもあらへんで」とのお言葉。

 「あんなア、こないだ泥棒が来て円空さんをみんな持っていってしもたんや」とのこと。

 
              旧上之保村地域


 「えっ、えっ、えっ」私たちは多分マンガの登場人物のように目が点になっていたことでしょう。
 しかもです、来る道中、車の中で、「どっかで円空仏が大量に盗まれたらしいな。本当に罰当たりな奴だ」と話しながら来たのですから。
 ああ、ナンタルチア!それがまさにここだったとは・・。

 ご承知かも知れませんが、岐阜県は円空仏が密集していてあちこちに点在しているのです。
 だからといって、盗難のニュースを知りながら、それがどこかを確かめずに来たこの愚かはまさに底抜けといわれてもしょうがありません。
 一応、前日ネットで調べたのですが、関市の観光案内などにも盗難の件は記載されていませんでした。

 でもめげてはなりません。
 目的地はもうひとつあるのです。
 「うだつ」と「美濃和紙」の街として有名な美濃市。この関市のV字に囲まれた市です。
 ここなら「うだつがみんな盗られた」というようなことはあるまいと思われます。



 道中、キバナコスモスがきれいでした。
 この辺り、見慣れた白やピンクのコスモスよりこちらの方が多いようで、ややしっかりした葉と力強い花がとてもきれいでした。
 それにしても、「あんたらドジね」と笑われているように思ったのはこちらの気のせいでしょうか。

 次回は、美濃市の探訪へと続きます。


コメント
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