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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

映画のはしごと「湘南乃風」

2009-04-23 04:21:08 | 映画評論
 また映画のはしごをしてしまいました。

 ひとつは『プラットフォーム』、『青の稲妻』、『世界』や『長江哀歌』などの話題作で現代中国に内在する問題を凝視し続けてきたジャ・ジャンクーの新作、『四川のうた』です。
 ただしこれは、シネマテークの試写会で観たもので、一般公開は6月です。それが近づいたら感想など書きたいのですが、とりあえず以下の点だけを・・。

    
      「ささしまライブ」から見た名古屋駅タワービル

 前作などで既にその兆候はあったのですが、この映画はドキュメンタリーなタッチのインタビューを中心としながら、そのインタビューの相手に実際の人物と俳優が演じる人物とが混在するという実験的な手法がとられています。
 これは、歴史とは事実と想像の「混在物」であるとする監督が、それらが織りなすものを「語り」として回収する作業といえます。ようするに、オーラル・ヒストリーの手法ともいえます。

 
        シネコン「109」へのエスカレーターから

 題材はいかにも中国らしいスケールの大きなもので、成都にあった労働者3万人、家族を含めると10万人の巨大国営工場「420工場」が半世紀の歴史に幕を下ろし、移転ないしは一部廃業という事態を迎え、そこで過ごした人々のかつての営みを収録するというものです。
 名もなき人々の日々の思い出が、中国の巨大な歴史的変貌を浮かび上がらせます。

 
          入り口付近にたむろする若者たち

 もうひとつ観たのは、いま名古屋地区で上映中の『ミルク』という映画です。
 こちらの方は、1970年代後半のアメリカで、同性愛者であることをカミングアウトして公職に就いたアメリカ初の政治家ハーヴェイ・ミルクのを描いた伝記的ドラマです(監督は『エレファント』のガス・ヴァン・サント)。
 アラフォーを迎えた彼の関心の拡大と、暗殺されるまでが描かれます。

 これについてもいろいろいうべきことがありますが、簡潔に二点だけ。
1)人間のセクシャリティそのものがホモ・セクシャルであろうがストレート(いわゆる正常)であろうが、種の存続からは疎外された行為として、すでにして「変態」に他ならないこと。
2)あるマイノリティ(少数者)を差別・排除する者は必ず他のマイノリティをも差別し、他者との共生を拒否するに至ること。

 
              シネコンの待合室

 とりわけこの際、2)に関する理解が必要で、マイノリティへの差別は、性差、社会的地位、民族、人種と拡張する傾向にあります。
 趣味の違いとか、あるいはある種の嫌悪感で同意できないこともあるでしょう。ただし、それでもって相手を全面的に否定したりその生存を危うくするのは、また違う次元の問題なのです。

 この映画を観たのは、名古屋は「ささしまライブ」の「109」というシネコンです。
 ここは三回目ですが、まだ4時前だというのに若い人で溢れていました。「え?映画って今こんなに人気が・・」と思ったのですが私の勘違いでした。
 若者たちは、シネコンの隣にあるZepp Nagoyaというライブハウスで行われる夕方からの公演を待ちわびて集まっていたのです。ポスターを観ると、「湘南乃風」というバンドのようです。映画を見終えて出てくると、ちょうどライブハウスへの入場が始まっているところでした。
 スタッフが、「860番から880番の人」などと叫んでいました。そこから振り返るとまだ何百人が並んでいて、きっと1,500人ぐらいは入ったのではないでしょうか。

 
    映画を見終えて外へ出ると名古屋発18:00頃の上り新幹線が

 ところで、あなた、「湘南乃風」というバンド知っていますか?

写真はこのささしまライブからのものとシネコン付近のものです。
 


コメント
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