16日のことである。
昼食を含めた集まりを終えて、せっかく名古屋へ来たのだから映画でも観て帰ろうと思ったのだが、映画までにはかなり時間がある。喫茶店で粘るというのが苦手なタチなので、ある程度暖がとれて読書でもできる公共的なところということで愛知芸術文化センタ―2階に陽あたりの良いベンチがあるのを思い出し、そこへと向かう。
「オアシス21」を経由し、地下2階に相当する部分からその建物に入る。
入ってすぐ、いつもは休憩所などがある辺りに変なモノがある。
どうやら何か作品のようである。
近くに受付のようなところがあって若い人達がいたので、「これって撮影してもいいですか」と尋ねると、「どうぞ、どうぞ」と快諾された。
ん?この富士山のようなものは???
何でも撮すのが好きだが、こうした場合は一応承諾を得ることにしている。
特に近くにその関係者がいればそれが礼儀だろうと思う。
何年か前、まったく同じ場所で、動物のキリンを模した立体作品を展示していたので、やはり同様に承諾を求めた。その折は「これは作品ですからダメです」とにべなく拒否された。まあ、致し方ないなあと思って諦めて10階に上がったらやはり同じ作者の象を模した作品があった。やはり写真は撮らなかった。
問題はここからだ。しばらくして再び地下2階へ降りてきてキリンの近くを通りかかって、実に不快な気分にさせられた。というのは、女学生の一団を含む複数の携帯ががそれを大っぴらに撮しているではないか。どうも様子からして、私と同じ通りかかりの一行で特に許可を得たわけでもない様だ。
で、先ほど承諾を求めに行った受付のところにはやはり複数の人間がいるのだが誰もそれを咎める様子はない。
近づいてみたがなにでできているのかはわからない
そうかい、礼を尽くして承諾を求める者にはどこかの官僚気取りで禁止を言い渡しながら、黙って撮る者には知らんぷりかい。それともカワイコちゃんの女学生ならいいが、私のようなオジンはダメというわけかい。
ふ~ん、わかった。写真に撮られて困るようなもん公の場所に飾るな。
展示室ならともかく、ここは来館者が通る通路じゃないか。10階の展示にしたって、その設置場所は不特定多数が集うロビーではないか。
このちぐはぐさと最前の官僚的物言いとが相まって不愉快極まりない思いをしたのだった。
あ、あの時の不快感が蘇って話が全く別のところへ飛んでしまった。
この16日に訪れた際には、そんなことはなく、快く了承してくれたということをいいたかったのだ。
今回の展示は「アーツ・チャレンジ(Arts Challenge)2012」という催しらしく、地下2階から地上11階にわたり、さまざまな空間に比較的若いアーティスト10名の作品が展示されていて、それらを全部回ると何やらグッズが貰えるスタンプラリーも催されている。
何やら点状のものからできているのだが
映画の前に読んでおきたいものがあったので全部は回らなかったが、そのうち最初に目についたものの写真をここに載せた。これの素材がキーになるが、順次みてもらうとそれが分かるようにした。
この作品の作者は土田泰子(ひろこ)さんといって、パンフレットでは自分の作品にこんなコメントを付けている。
「安全ピンは努力の象徴 他者に敵意という針を向けるのではなく自分の内に秘めるもの。内なる戦い。その努力の積み重ねによって人は頂点をめざす!(以下略)」
どうやらこの人、メタルを素材とした作品が多いようだ。
で、どんな人かと思ってネットで検索したら、モデルさんを思わせるとっても可愛い写真があった。無断転載禁止とあるのでお見せできないのが残念だが、興味のある人はここで見ることができる。
http://brigit.jp/snap/1830/3/?height=2&item=6&category=6
知り合いの大野左紀子さんに『アーティスト症候群』という書があり、それもひと通り読んだが、現代アートというのはよくわからない点もある。もっとも大野さんの著作は、自身が「アーティスト」であったところから離れていった時点で書かれたものである。
一口に現代アートといっても、それらの作品には伝統的な絵画や彫刻からさほど飛躍していないものもあるし、作品として対象化することが困難なパフォーマティックなものもある。それらをひとまとめにしての評価は不可能だろう。したがって、自分で見聞して面白いものは面白いというまことに自己撞着ないい方しかできないのが正直なところだ。
これらは全部安全ピンでできていました
携帯のアップでいまいちぼけていますが
しかし、なにはともあれ、この安全ピンの集積はすごい。何個あるのかはわからないが、これだけのものをこの形状に作り上げるには、その着想や設計はともかく、かなりの根気が要るように思う。私なら陰々滅々となってしまうようなこの作業を若い作者はどのような気分でこなしたのだろうか。ルンルン気分で鼻歌混じりだったのだろうか。それとも深い孤独感に苛まれながらだったのだろうか。
先にみた作者のコメントからするとかなりポジティブな気分のうちで作られたようだ。
それが若さの特権なのだろう、きっと。
*なお、これらの展示は2月26日まで行われている。
昼食を含めた集まりを終えて、せっかく名古屋へ来たのだから映画でも観て帰ろうと思ったのだが、映画までにはかなり時間がある。喫茶店で粘るというのが苦手なタチなので、ある程度暖がとれて読書でもできる公共的なところということで愛知芸術文化センタ―2階に陽あたりの良いベンチがあるのを思い出し、そこへと向かう。
「オアシス21」を経由し、地下2階に相当する部分からその建物に入る。
入ってすぐ、いつもは休憩所などがある辺りに変なモノがある。
どうやら何か作品のようである。
近くに受付のようなところがあって若い人達がいたので、「これって撮影してもいいですか」と尋ねると、「どうぞ、どうぞ」と快諾された。
ん?この富士山のようなものは???
何でも撮すのが好きだが、こうした場合は一応承諾を得ることにしている。
特に近くにその関係者がいればそれが礼儀だろうと思う。
何年か前、まったく同じ場所で、動物のキリンを模した立体作品を展示していたので、やはり同様に承諾を求めた。その折は「これは作品ですからダメです」とにべなく拒否された。まあ、致し方ないなあと思って諦めて10階に上がったらやはり同じ作者の象を模した作品があった。やはり写真は撮らなかった。
問題はここからだ。しばらくして再び地下2階へ降りてきてキリンの近くを通りかかって、実に不快な気分にさせられた。というのは、女学生の一団を含む複数の携帯ががそれを大っぴらに撮しているではないか。どうも様子からして、私と同じ通りかかりの一行で特に許可を得たわけでもない様だ。
で、先ほど承諾を求めに行った受付のところにはやはり複数の人間がいるのだが誰もそれを咎める様子はない。
近づいてみたがなにでできているのかはわからない
そうかい、礼を尽くして承諾を求める者にはどこかの官僚気取りで禁止を言い渡しながら、黙って撮る者には知らんぷりかい。それともカワイコちゃんの女学生ならいいが、私のようなオジンはダメというわけかい。
ふ~ん、わかった。写真に撮られて困るようなもん公の場所に飾るな。
展示室ならともかく、ここは来館者が通る通路じゃないか。10階の展示にしたって、その設置場所は不特定多数が集うロビーではないか。
このちぐはぐさと最前の官僚的物言いとが相まって不愉快極まりない思いをしたのだった。
あ、あの時の不快感が蘇って話が全く別のところへ飛んでしまった。
この16日に訪れた際には、そんなことはなく、快く了承してくれたということをいいたかったのだ。
今回の展示は「アーツ・チャレンジ(Arts Challenge)2012」という催しらしく、地下2階から地上11階にわたり、さまざまな空間に比較的若いアーティスト10名の作品が展示されていて、それらを全部回ると何やらグッズが貰えるスタンプラリーも催されている。
何やら点状のものからできているのだが
映画の前に読んでおきたいものがあったので全部は回らなかったが、そのうち最初に目についたものの写真をここに載せた。これの素材がキーになるが、順次みてもらうとそれが分かるようにした。
この作品の作者は土田泰子(ひろこ)さんといって、パンフレットでは自分の作品にこんなコメントを付けている。
「安全ピンは努力の象徴 他者に敵意という針を向けるのではなく自分の内に秘めるもの。内なる戦い。その努力の積み重ねによって人は頂点をめざす!(以下略)」
どうやらこの人、メタルを素材とした作品が多いようだ。
で、どんな人かと思ってネットで検索したら、モデルさんを思わせるとっても可愛い写真があった。無断転載禁止とあるのでお見せできないのが残念だが、興味のある人はここで見ることができる。
http://brigit.jp/snap/1830/3/?height=2&item=6&category=6
知り合いの大野左紀子さんに『アーティスト症候群』という書があり、それもひと通り読んだが、現代アートというのはよくわからない点もある。もっとも大野さんの著作は、自身が「アーティスト」であったところから離れていった時点で書かれたものである。
一口に現代アートといっても、それらの作品には伝統的な絵画や彫刻からさほど飛躍していないものもあるし、作品として対象化することが困難なパフォーマティックなものもある。それらをひとまとめにしての評価は不可能だろう。したがって、自分で見聞して面白いものは面白いというまことに自己撞着ないい方しかできないのが正直なところだ。
これらは全部安全ピンでできていました
携帯のアップでいまいちぼけていますが
しかし、なにはともあれ、この安全ピンの集積はすごい。何個あるのかはわからないが、これだけのものをこの形状に作り上げるには、その着想や設計はともかく、かなりの根気が要るように思う。私なら陰々滅々となってしまうようなこの作業を若い作者はどのような気分でこなしたのだろうか。ルンルン気分で鼻歌混じりだったのだろうか。それとも深い孤独感に苛まれながらだったのだろうか。
先にみた作者のコメントからするとかなりポジティブな気分のうちで作られたようだ。
それが若さの特権なのだろう、きっと。
*なお、これらの展示は2月26日まで行われている。