安部首相の今回のイスラエル行きがいろいろな意味で話題になっているが、別に彼が単独で行ったわけではない。いわゆる財界筋の人達がぞろぞろ同行している。
私などの下衆の勘ぐりでは、今回の2億ドルの「人道支援」という「後方支援」を回収するためのビジネス・チャンスを狙った動きで、もちろん事前に、政・財の間での作戦が練られた上でのことであろうと思う。
友人の田中猪夫氏は、1月18日にエルサレムで開催された「日本・イスラエル・ビジネスフォーラム」の内容を伝えていて、昨年7月に行われた同様の会との比較検討をされている。
私にはその違いはよくわからないが、前回が比較的スタンダードなメンバーだったのに対し、今回はやはり「おともだち」色が強くなったのかなぁとも思う。
そんななか、知っている人はとっくに知っているのだろうが、(株)サムライインキュベートという私の知らない会社があって、その「サムライ」が何を意味しているのかよくわからないのでググってみた。
ようするに、「起業家支援」をする会社なのだそうだが、そのHPがなかなかのもので、なんだか新選組に勧誘されたような気分になる。
http://www.samurai-incubate.asia/
別のところで、この会社のCEOのインタビュー記事を見つけたので読んでみると、最初に出てくるおどろおどろしい漢字の8文字の意味するところは以下の様らしい。
*サムライインキュベート八つの魂
《義》社内・社外に対して、常に誠実であるべし
《礼》非道な行いを禁じ、社内・社外に対する行いに敬意を払うべし
《勇》行動を起こすことを恐れる人々の中から先陣を切って決起すべし
《誉》名誉に重きを置き、それをもって己の価値とすべし
《仁》慈愛の精神を重んじ、あらゆる局面において行われたものも同然とすべし
《誠》事を実行すると言った際、それはすでに行われたものも同然とすべし
《忠》己の主君、信ずる者に対し限りない忠義を尽くすべし
《挑》目指すべき目標は、自らに挑む目標つまり、120%以上達成を意味すべし
「忠」などはいささかアナクロの臭がするが、まあ一つ一つはそれなりにいいとしよう。しかし、このように徳目を列記する場合、その間に矛盾が出てくることは当然ありうることで、例えば、「忠」と「義」が離反する場合があるし、「勇」と「仁」との間にも矛盾はありそうだ。
いずれにしてもこのような羅列は、それらの優先序列を決める上位の規律を必要とするのであり、このままでは何もいったことにはならない。せいぜい、自分の行為をそのどれかひとつにプラグマティックに当てはめて正当化することにしかならない。ようするに、「なんでもあり」なのだ。
どうやら、この8文字は、「南総里見八犬伝」の「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」のパクリのようだが、「智」が欠落しているのが象徴的である。
まあ、いかにも安部首相好みの人選ではある。
人質事件が公になったのはその二日後だった。