静岡県に住む姉が八十余年の命を閉じた。私より二歳上。
お互い八〇年余の間、交流があったのはその半分の四〇年ほどでしかない。
両親を病や戦争で亡くした私たち姉弟は、幼くして全く別々のところへ養子に出されたまま互いにその消息はわからなかったのだ。
それを四〇歳過ぎに姉の方が私を探し出してくれ、以後、交流を持つこととなった。それだけに、お互い、その後の交流を大切にしてきた
その最後の別れ、六月一日の通夜、二日の告別式には老骨にむち打ち、伊豆半島の付け根まで出かける予定。
姉よ、安らかに眠れ! あなたのことは決して忘れない。
*子供の頃、童謡の「花かげ」を聴くと、なぜか生き別れの姉のことを想い、胸キュンになったものだ。
1.十五夜お月さま ひとりぼち
さくら吹雪の 花かげに
花嫁姿の お姉さま
車にゆられて 行きました
2.十五夜お月さま 見てたでしょう
さくら吹雪の 花かげに
花嫁姿の 姉さまと
お別れおしんで 泣きました
3.十五やお月さま ひとりぼち
さくら吹雪の 花かげに
遠いお里の お姉さま
私はひとりに なりました
「花かげ」の”わたしはひとりになりました”のところに強い共感を覚えています。
お悔やみのお言葉、ありがとうございました。
ちょっと特殊な姉弟だっただけに、後半、再会して後の間柄も特別で、お互い、相手を大事にしてきました。
それだけに、それをなくした寂しさもひとしおです。
子供の頃、「花かげ」に託した思いが、蘇ってくる気がしています。