花冷え

会社のそばに一本だけ、桜が咲いている。

この数日寒くて、大寒ぐらい寒いんじゃないかと思うぐらい寒い。
なまじ、あの春の気配を感じてしまっているから余計寒いのだろう。

その代わり、咲いた桜は散る気配がない。


nanuさんがカレンダーに予定を書いている。
ぎっしり詰まっている。

「３月も終わったな。Ａさんが入院してから１ヶ月だ。」
「１人であれもこれもやっているから、大変ですね。」
「でもこうして書いておくと、後で引き継ぐ時すぐ分かるだろ？」
「はい。」

それでnanuさんは「おぉそうだ！」と言った。
定額給付金の紙が来たか？と言うので、昨日来ましたよ！と言った。

そうだそうだと言って、nanuさんはキャッシュカードのコピーを取った。
「見難いなぁ」と言うので、もう少し薄く取った方がいいんじゃないですか？と言った。
「ここに貼っといて」と言うので、貼った。
それで名前とか口座番号とかあれこれ書いて、これ、のりで貼って出しといてと言う。

「このハンコはシャチハタでいいんでしたっけ？」
「何でもいいだろ。そんないちいちチェックしてられるか。」
「そうですね。」

そして、私は自分の方の書類だけは完璧に間違いがないようにチェックして、封をして一緒に投函した。
　
やっぱり楽しみだなぁ～