今日はin病院にて、父の誕生日パーティの日である。
私は中2のミーと父の好きなジャズを演奏することになっていた。
妹が父が覚えているようだと選んだ楽譜は「In The Mood」と「Moon River」。
私にあまり負担の無いように、楽譜のギターコードで適当に合わせてくれれば良いと言う。
私と妹は中学生時代からいつもカラオケごっこをしており、それは片方がピアノを弾いて、片方がマイクで歌うと言う遊びである。
当時『明星』『平凡』と言った雑誌があって、それの付録に歌本みたいなものがついていて、最新の流行曲の楽譜とギターコードが載っていた。
そのギターコードを和音に直して、適当にズンチャカズンチャカと弾いていたのである。
とは言っても、さすがにしばらくピアノを弾いていない私。
楽譜を受け取ってから、何度か練習を重ねる。
1度ぐらいミーとテンポをあわせておいた方が良かろうとTELしてみると妹は喜んでくれた。
しかし、私は平日は仕事だし、ミーも部活や歯医者などいろいろ忙しく、夜遅くでは近所迷惑になると言う事情もあり、合わせるのは当日になってしまった。
「それからね」と妹は言い、「看護婦さんと相談して最初にお孫さんからのお祝いの言葉を言う事になってるのね。それは初孫のkekeがどうかなぁって言ってるのよ。」
「え!!それは確かにそうだけど、あの子そんなオネガイしたら『やっぱ行かない』って言うかも。」
私はどうしようどうしよう大丈夫かなぁ、と言うと妹は「もしも無理だったら、その場で私が言ってもいいし」と言い、ミーは「その時は自分が挨拶するよ」と言う。
家に帰ってからkekeに「明日のじいちゃんの誕生パーティに【お孫さんの言葉】と言う項目があって、なのでkekeよ、じいちゃんにお祝いの挨拶しておくれ。」と言うと、予想通りに「どうして自分が?」「そんなしらじらしい事をなぜ?」とかブーブー言うので、
「アンタねぇ!【お孫さんの言葉】でハタチになったお前が何も言わなくて、ミーやミキが何か言うって、そっちの方が恥かしくて立場ないだろが!」
と言うと、kekeは黙り込んだ。
「いいね、【おじいちゃん誕生日おめでとうございます。これからも元気で長生きしてください】って言えばいいの!その2行でいいんだから。」
と、私は念を押す。
そんなこんなで始まった父の誕生会なのだが、大成功だった。
ミキもピアノを弾き、数回しか練習できなかったミーと私のジャズもうまく行き、妹はその度に父の耳元で誰が演奏しているのか父に説明してくれた。
不安だったkekeも、アレンジを加えて自分がハタチになった事や、昔よく旅行に行った時、父と一緒に寝た話まで交えて【お孫さんの言葉】を完結した。
看護婦さんも父の知っていそうな曲を演奏してくれて、父は口ずさんでいた。
ミーは「おじいちゃん、また来るね」とうるうるしている。
看護婦さんは「元気なうちに少しでもいい思い出を」と言っていた。
まだ父は元気なうちなのか。。。
また来週も再来週も会いに行こう。