所用で仙台に足を運んだ。ちょっと空いた時間に、仙台朝市の齋藤惣菜店(>> リンク)で、「じゃがじゃがコロッケ」と「トマトクリームコロッケ」を1個ずつ買う。前に妙齢の女性たちが5人くらい並んでいて、「お兄さんいい?さきに買ってもいい?」と連発するが、この場合、「駄目です。ぼくが先に買います」という答えは当然ながらあり得ない。
帰りの新幹線でひとりパックを開けてむしゃむしゃ食う。あまり人に見られたくない姿ではある。それにしても、こういった店で買うコロッケは何でこんなに旨いんだろう。
仙台駅前では、いつも『THE BIG ISSUE』を売っている人がいる。ジョージ・クルーニーが表紙の最新号を読もうかと思ったが、その横に、売り手によるらしきマジックペンの字で「伊坂幸太郎のインタビュー」と書かれた紙が貼ってあるバックナンバーがあって、それを買った。売り手のお兄さんは、「伊坂幸太郎がお好きでしたら、これを見せましょう。非売品です」と、本人サイン入りのその号を自慢した。伊坂幸太郎も仙台で『THE BIG ISSUE』を買っているのだった。
『重力ピエロ』において、ローランド・カークのサックスを主人公の父が聴かせる場面がある。そして弟は言う。「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
インタビュー記事でも、伊坂幸太郎のこのような言葉がある。
「以前、作家の井上ひさしさんにこう言われたことがあるんです。『人間って生きているだけでつらいことや悲しいことは経験できる。だから、人間が無理してでもつくらないといけないのは、笑いなんだよ』って」
●参照
○伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』と中村義洋『ゴールデンスランバー』
○伊坂幸太郎『重力ピエロ』と森淳一『重力ピエロ』