ソニー・フォーチュン『In the Spirit of John Coltrane』(Shanachie、1999年)は、最初に日本企画盤『コルトレーンの魂』として出されたのだったと記憶する。当時悪くない印象を持っていたが、手放してから長く、ふとディスクユニオンで中古盤を見つけて入手した。
文字通り、ジョン・コルトレーンのフォロワーとしての演奏集である。コルトレーン作曲の「Ole」と「Africa」以外はフォーチュンの手によるとあるが、聴いてみると、悪い冗談かと言いたくなるようなコルトレーン・ライクな曲だ。ピアノのジョン・ヒックスも何だかマッコイ・タイナーを演じているように聴こえてしまう。
例えば「Hangin' out with JC」を2回演奏しており、これは「Countdown」そのものに近い(解説では、「Countdown」と「Moments Notice」を意識しているとある)。しかし、自分はこの演奏が何とも嬉しく、ビリー・ハーパーが『Live - on Tour in the Far East』(Steeplechase、1991年)において演奏した「Countdown」の熱気を否応なく思い出させてくれる。
「For John」という曲でのみ、ラシッド・アリ(ドラムス)、レジー・ワークマン(ベース)と組んでいる。アリの蛇のように絡みついては離れるパルス、ワークマンの焦燥感あふれる不穏なベースはやはり素晴らしい。
それでも、フォーチュンは何をやってもフォーチュン、突き抜けるところのないサックスおやじである。『A Better Understanding』(Blue Note、1995年)をわりと愛聴してきたが、これも結局は心地いいBGMに落ち着いてしまう。マッコイ・タイナー『Sahara』(Milestone、1972年)は突き抜けたと思っているのではあるけれども。
1997年、新宿ピットインでサインを頂いた