あまりにも危険な複合機オスプレイの配備が、沖縄・普天間基地に強行されそうになっている。開発段階から何度も墜落し、沖縄の2紙の一面に「オスプレイが沖縄全域を飛行」と報じられた翌日にも、フロリダで墜落している有様だ。
『オスプレイ普天間配備の危険性』(リムピース+非核市民宣言運動・ヨコスカ編、2012年)という小冊子が、オスプレイの危険性を取りまとめている。
周知のように、オスプレイは、離着陸時にはヘリモード、そして大型の回転翼を90度回転させ、水平飛行には飛行モードとなる。問題は、飛行中に何かがあった場合である。
○通常のヘリは、エンジンが止まっても、プロペラが落下するスピードを緩和する(オートローテーション)。しかし、オスプレイは重いうえに、プロペラが通常のヘリよりも小さいため、オートローテーションが効かない。つまり凄い勢いで落ちる(同じ条件で、CH46の2倍程度の速度)。
○日米政府の説明では、エンジントラブルがあっても、オートローテーションを効かせながら滑降し、滑走路に降りることができると説明しているが、これはウソ。滑走ではなくまっさかさまに落ちる。
○仮に、グライダーのように降りるとしても、回転翼を横倒しにしたままではプロペラが滑走路にぶつかるため、最後にプロペラを吹き飛ばす機能がついている。これが生活地域に落ちたら大変なことになる。
○安全に着陸できるとする前提は、普天間の周囲の「場周経路」(俵型の飛行ルートで訓練)をオスプレイが飛ぶということである。仮に、それが守られている場合に着陸できるとしても、実際の飛行ルートは、「場周経路」を大きくはみ出している。すなわち、前提から崩れている。
伊波洋一氏の説明資料(2012/6/15)
○辺野古のアセスでは、オスプレイの飛行経路が海側に示されていた(これとても、そのような台形のルートを飛べるわけがないと米軍自らが否定している)。しかし、「場周経路」は示されていなかった。すなわち、辺野古基地が仮に出来たとしたら、陸側の集落は危険にさらされる。もとより、このことが評価されていないアセスはダメである。
○オスプレイは、米国において、連邦航空局の耐空性要求を満たしていない(軍用機には適用されない)。日本の航空法においても、耐空証明が取れず、民間輸送機としては飛行できない。しかし、日米地位協定と航空特例法で、米軍は、航空法の「耐空証明を受けた航空機以外の用途禁止」という条項の適用を除外されている。
○さらに、米国では、普天間のように住宅地の上を飛び続けることはない(フロリダのオスプレイ墜落事故も、基地内だから被害が最低限で済んだ)。
○従って、本来は安全基準をクリアしないような欠陥品が、しかも米国と違って、民家の上を飛ぶということになる。
○なお、普天間へのオスプレイ配備後には、キャンプ富士と岩国基地に、月2,3回、2-6機が低空飛行ルートで派遣される(東京新聞、2012/6/21)。危険は「本土」にも及ぶ。
「東京新聞」2012/6/21
いくら米国に通告されるがままに安全だと言ったところで、このような代物である。
●参照
○6.15沖縄意見広告運動報告集会
○オスプレイの模型
○60年目の「沖縄デー」に植民地支配と日米安保を問う
○辺野古の似非アセスにおいて評価書強行提出
○前泊博盛『沖縄と米軍基地』
○屋良朝博『砂上の同盟 米軍再編が明かすウソ』
○渡辺豪『「アメとムチ」の構図』
○シンポジウム 普天間―いま日本の選択を考える(1)(2)(3)(4)(5)(6)
○『世界』の「普天間移設問題の真実」特集
○大田昌秀『こんな沖縄に誰がした 普天間移設問題―最善・最短の解決策』
○二度目の辺野古
○2010年8月、高江
○高江・辺野古訪問記(2) 辺野古、ジュゴンの見える丘
○高江・辺野古訪問記(1) 高江
○沖縄・高江へのヘリパッド建設反対!緊急集会
○ヘリパッドいらない東京集会
○今こそ沖縄の基地強化をとめよう!11・28集会(1)
○今こそ沖縄の基地強化をとめよう!11・28集会(2)
○「やんばるの森を守ろう!米軍ヘリパッド建設を止めよう!!」集会(5年前、すでにオスプレイは大問題として認識されている)