フィリップ・K・ディック『空間亀裂』(創元SF文庫、原著1966年)を読む。
近未来。ある医師が使う超高速移動機の修理中に、代理店は、内部の亀裂を見つける。くぐって入ってみると、そこは大量移住ができそうな別世界。実は、パラレル・ワールドの地球だった。そこでは、ホモ・サピエンスではなく、北京原人が進化を遂げていた。
米国初の黒人大統領。売春が自由にできる人工衛星。「シャム双生児」。臓器売買。人種差別。
何だか出鱈目に、思いつきそのものじゃないかと確信できるほど、さまざまな要素が詰め込まれている。しかも、支離滅裂に、唐突に、脈絡なく。ストーリーは最後に慌てたように急展開する。何だこれは。
世評は低いらしい。それももっともである。(実は面白かったが。)