Sightsong

自縄自縛日記

フィリップ・K・ディック『空間亀裂』

2013-03-13 00:12:29 | 北米

フィリップ・K・ディック『空間亀裂』(創元SF文庫、原著1966年)を読む。

近未来。ある医師が使う超高速移動機の修理中に、代理店は、内部の亀裂を見つける。くぐって入ってみると、そこは大量移住ができそうな別世界。実は、パラレル・ワールドの地球だった。そこでは、ホモ・サピエンスではなく、北京原人が進化を遂げていた。

米国初の黒人大統領。売春が自由にできる人工衛星。「シャム双生児」。臓器売買。人種差別。

何だか出鱈目に、思いつきそのものじゃないかと確信できるほど、さまざまな要素が詰め込まれている。しかも、支離滅裂に、唐突に、脈絡なく。ストーリーは最後に慌てたように急展開する。何だこれは。

世評は低いらしい。それももっともである。(実は面白かったが。)

●参照
フィリップ・K・ディック『ヴァリス』
フィリップ・K・ディックの『ゴールデン・マン』と映画『NEXT』