Sightsong

自縄自縛日記

サニー・マレイ『Perles Noires Vol. I & II』

2013-03-28 00:59:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

サニー・マレイ『Perles Noires Vol. I & II』(Eremite、2002・04年)。そのうち聴こう聴こうと思って何年も経ってしまい、ようやく中古盤を入手した。

『Vol. I』
Sunny Murray (ds)
Sabir Mateen (as, ts, al-cl)
Dave Burrell (p) (1)-(4)
Louis Belogenis (ts) (6)(7)
Alain Silva (b) (6)(7)

『Vol. II』
Sunny Murray (ds)
Sabir Mateen (as, ts, b-flat cl, fl)
Oluyemi Thomas (bcl, c-melody sax) (1)-(4)
John Blum (p) (5)-(7)

新しい録音とは言っても、もうおよそ10年前。サニー・マレイは現在76歳のはずで、さて健在なのだろうか。

少なくとも、これらの録音では、昔からのマレイならではのドラミングを見せている。絶え間なく繊細にシンバルを鳴らし続け、それによる微分的な高音のパルスを創り出す。それと並行して、バスドラムを、発作的に使う。その非間欠的・非定常的な読めないパルスと、シンバルの微分的なパルスとの交錯が生み出す大きなうねりが、マレイのドラミングなのだと思う。従って、フリー・フォームの中に座る姿こそマレイに相応しい。

この2枚の盤では、サビーア・マティーンのサックスやクラリネットと組み、演奏によって、デイヴ・バレル(ピアノ)、ルイ・ベロジナス(テナーサックス)、アラン・シルヴァ(ベース)、オルイェミ・トーマス(バスクラ、サックス)、ジョン・ブルーム(ピアノ)らをそれぞれ入れる形をとっている。

マティーンのサックスは、ちょっとけじめがない感覚の連続性があり、音色が艶やかで、低音から高音までを満遍なく繰り出してくるもので、悪くない。それに対して、オルイェミ・トーマスの音響サックスは何なのだろう。まだ魅力があるのかどうか、感覚にフィットしない。また、初めて聴くルイ・ベロジナスは、アルバート・アイラーの影響を受けたのだというが、これもまだよくつかめない。

デイヴ・バレルのピアノが入り、マレイ、マティーンとのトリオになると、演奏の展開と色がとても鮮やかで、聴き惚れてしまう。3人が出たり入ったりする感覚が絶妙なのだ。


サニー・マレイ、メアリジェーン、1999年 PENTAX MZ-3、FA28mmF2.8、Provia400、DP

●参照
サニー・マレイのレコード
ウィリアム・パーカーのカーティス・メイフィールド集(サビーア・マティーン参加)
ウィリアム・パーカー+オルイェミ・トーマス+リサ・ソコロフ+ジョー・マクフィー+ジェフ・シュランガー『Spiritworld』