ミシェル・ンデゲオチェロによるライヴ映像、『Holland 1996』(1996年)を観る。オランダ・ハーグでの「North Sea Jazz Festival」に出演した際の記録である。
なかなか言葉が解りにくいから、歌詞を探して、片手に持った。わずか4曲ではあるが、相手をドアの外から想う愛の唄、黒人としてのプロテストの唄など。おそらくはさまざまな隠語が散りばめられているのだろうが、わたしにとっては距離の遠い異文化、それを感知する能力はない。
それにしても、ンデゲオチェロは囁くような声で聴かせる。ファンクの繰り返しとビート、その中で、彼女は歌い、キーボードを弾き、ベースを弾く。もう、ひたすらにカッチョいいグルーヴなのだ。なお、ンデゲオチェロとは、スワヒリ語で「鳥のように自由に」を意味する。
1996年といえば、ちょうど、『Peace Beyond Passion』が公表された年だ。もう手元にはないが、普段は線が細くて敬遠していたジョシュア・レッドマンのサックスがぴたりとはまり、唸った録音だった。同時期に、インパルス・レーベルの企画で、ハービー・ハンコックと共演したCDと映像があって、これもずいぶん好きだった。
実は、その後のンデゲオチェロをまったく追いかけていない。二ーナ・シモン集なんて聴いてみたいのではあるが。推薦乞う。