Sightsong

自縄自縛日記

ジョニー・トー(20) 『城市特警』

2014-01-02 22:47:57 | 香港

ジョニー・トー『城市特警』(1998年)を観る(VHS)。かなり初期のトー作品。

香港警察のウォン警部(レイ・チーホン)は、指が痙攣して銃が撃てなくなり、もう警察を辞めようかと思っていた。辞表を出そうとした矢先に、親友の警部が殺される。捜査に乗り出すと、それは警察内部の者も関与したロシアとの麻薬取引だった。

矢継ぎ早にアクションとギャグを繰り出してくる一級のアクション。残酷な描写において工夫しようとしていることはよくわかるが、まだ、トーならではのスタイリッシュな演出はさほどみられない。

「らしい」ところがあるとすれば、カメラ好き。盗撮する男の使うカメラはキヤノンT-90である。この後、『フルタイム・キラー』ではペンタックスZ-1P、『PTU』のインタビュー映像ではツァイスイコン・ホロゴンウルトラワイド、『イエスタデイ、ワンスモア』では何かの二眼レフ、『エグザイル/絆』ではコンタレックス・ブルズアイ、『文雀』ではバルナックライカとローライ二眼レフ、『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』ではポラロイドSX-70といった具合。

レイ・チーホンは『男たちの挽歌』に登場する裏切り者か、悪くない。

●ジョニー・トー作品
『名探偵ゴッド・アイ』(2013)
『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2013)
『高海抜の恋』(2012)
『奪命金』(2011)
『アクシデント』(2009)※製作
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009)
『スリ』(2008)
『僕は君のために蝶になる』(2008)
『MAD探偵』(2007)
『エグザイル/絆』(2006)
『エレクション 死の報復』(2006)
『エレクション』(2005)
『ブレイキング・ニュース』(2004)
『柔道龍虎房』(2004)
『PTU』(2003)
『ターンレフト・ターンライト』(2003)
『スー・チー in ミスター・パーフェクト』(2003)※製作
『デッドエンド/暗戦リターンズ』(2001)
『フルタイム・キラー』(2001)
『暗戦/デッドエンド』(1999)
『ザ・ミッション 非情の掟』(1999)


高畑勲『かぐや姫の物語』

2014-01-02 21:23:45 | 関西

高畑勲『かぐや姫の物語』(2013年)を観る。

墨の線による淡い色彩のアニメが、男鹿和雄の背景美術と見事に融け合っていて、見事。仰天、驚愕。ハイテクかつアナログ、大変な地点にまで来ているのではないか。

これは倫理の物語であり、また、ケガレ論でもあるようにも思えた。かぐや姫は、ケガレとの境界を行き来し、その上で、ケガレの境界を引きなおし、そこに豊饒な生命をあらためて見出していくことになる。

●参照
高畑勲『じゃりん子チエ』(1981年)
男鹿和雄展、『第二楽章 沖縄から「ウミガメと少年」』


科学映像館が公開する映像の数々

2014-01-02 09:44:00 | アート・映画

科学映像館」では、その名の通りの科学映画にとどまらず、産業、祭祀、社会、歴史など様々な分野の貴重な映像を配信している。

これまでのレビューが、サイト更新に伴いリンク切れになっていたりもしたので、すべて修正した。(※ 2014/1/2再修正)

沖縄・琉球弧
『粟国島侵攻』、『海兵隊の作戦行動』(沖縄戦)
『沖縄久高島のイザイホー(第一部、第二部)』(1978年の最後のイザイホー)
『石垣島川平のマユンガナシ』(石垣島の祭祀)
熱帯林の映像(沖縄の着生植物やマングローブなど)
『与論島の十五夜祭』(南九州に伝わる祭のひとつ)

原子力
『黎明』、『福島の原子力』(福島原発)
『目でみる福島第一原子力発電所』(福島原発) 
『原子力発電の夜明け』(東海第一原発)

産業
『科学の眼 ニコン』(坩堝法によるレンズ製造、ウルトラマイクロニッコール)
『たたら吹き』、『鋳物の技術―キュポラ熔解―』(製鉄)
『ビール誕生』(ビールの製造)

動物
アカテガニの生態を描いた短編『カニの誕生』
『かえるの話』(ヒキガエル、アカガエル、モリアオガエル)
『アリの世界』と『地蜂』
『潮だまりの生物』(岩礁の観察)
川本博康『東京のカワウ 不忍池のコロニー』(カワウ)

美術
『雪舟』
『廣重』

アジア
川本博康『今こそ自由を!金大中氏らを救おう』(金大中事件、光州事件)
『上海の雲の上へ』(上海環球金融中心のエレベーター)
『チビ丸の北支従軍 支那事変』(プロパガンダ戦争アニメ)
『チャトハンとハイ』(ハカス共和国の喉歌と箏)
ザーラ・イマーエワ『子どもの物語にあらず』(チェチェン)

日本各地
『昭和初期 9.5ミリ映画』(8ミリ以前の小型映画)
『花ひらく日本万国博』(大阪万博)
『小島駅』(徳島本線の駅、8ミリ)
戦前の北海道関係映画
山田典吾『死線を越えて 賀川豊彦物語』

科学映像館 >> リンク


降旗康男『居酒屋兆治』

2014-01-02 01:52:27 | 北海道

久しぶりに、降旗康男『居酒屋兆治』(1983年)を観る。(何しろ高倉健なので・・・。)

20年ぶりくらい前には大原麗子くらいしか意識していなかったが、ちあきなおみ、伊佐山ひろ子、細野晴臣、佐藤慶など脇役が超豪華。

それはともかく、固定化しまくったジェンダー、バルネラビリティへの願望、暴発することがわかっている抑制、場末感など、もうやりたい放題。妄想を正直に形にした映画という意味では傑作か(笑)。

●降旗康男
降旗康男『地獄の掟に明日はない』(1966年)
降旗康男『あ・うん』(1989年)
張芸謀・降旗康男『単騎、千里を走る。』(2006年)
降旗康男『あなたへ』(2012年)