Sightsong

自縄自縛日記

アレズ・ファクレジャハニ『一家族三世代の女性から見たイラン・イスラム共和国』

2014-01-23 11:49:22 | 中東・アフリカ

友人のアレズ・ファクレジャハニさん(中東研究者)が、「世界」誌(岩波書店)に、『一家族三世代の女性から見たイラン・イスラム共和国』というルポを書いている。(上:2013年12月号、中:2014年2月号)

イランのある家族、3世代の女性3人。80代の祖母はアゼルバイジャン近くの地方都市に住み、60代の母はテヘランに住み、そしてイラン国外に住む孫は5か国語を話し、イスラム教を必ずしも厳格に守ってはいない。この3人に加え、イラン・イスラム革命(1979年)のときに逮捕された祖父を含め、世代も住む場所も異なる者たちの体験や視線を通じて、現在のイランを描いたルポである。

歴史をいくつかのキーワードでまとめて構造的に提示するものとは大きく異なり、実態に基づくものであり、とても興味深い。

たとえば、以下のような視点。
○イラン・イスラム革命のとき、市民たちはパーレビ王朝の何が不満で、追放先のフランスから戻ってきたホメイニ師に何を期待したのか?
シーア派とスンニ派との実際の違いはどのようなものか? シリアのアラウィー派は、シーア派のなかでどのように位置づけられているのか?
○現在の(近いと考えられている)イランとシリアとの関係は、宗教や、イラク、イスラエルとの関係がいかに影響して出来あがったものなのか?
○アフマディネジャド前大統領が再選された2009年の大統領選にどのような不正があったのか? また、ロウハニ大統領が選ばれた2013年選挙に、米国のどのような影響があったのか?

連載の第3回(下)は、アレズさんによると、「イランと米国」をテーマとしているのだという(いつの号か未定とのこと)。当然、イスラエルや、シリアのアサド政権への今後の接し方についても、見通しを示してくれることを期待してしまう。

シリア、イスラエル、パレスチナにおいて、国家的犯罪は終息しない。この1月22日から開かれたシリア和平会議には、イランは招聘されなかった。その一方で、ロウハニ大統領は米国との関係改善を図っているとの報道がある。著者が「世界第三位の経済大国である日本の市民も、この家族同様にその国際政治に関わっている」ことはまさに的確であるが、中東地域については、しっかりとした視点と判断基準を持つことこそが難しい。

前政権により軟禁され、映画撮影を禁じられたジャファール・パナヒや、イランに戻ることができないバフマン・ゴバディへの扱いがどのように変わっていくのかも、気になるところだ。

●参照
酒井啓子『<中東>の考え方』
ソ連のアフガニスタン侵攻 30年の後
ジャファール・パナヒ『これは映画ではない』、ヴィジェイ・アイヤー+マイク・ラッド『In What Language?』
バフマン・ゴバディ『ペルシャ猫を誰も知らない』


やっぱり運動ダイエット

2014-01-23 08:55:56 | スポーツ

6年ほど前に、コレデハイケナイと一念奮起して体重を10キログラム以上減らしたことがある(>> リンク)。当時流行った「キャベツダイエット」であり、運動などはしなかった。確かに効果があったとはいえ、もうこんな辛いことは嫌だという気持ちがあったせいか、その後数年間でリバウンドし、出発時点以上にまで体重が増えてしまった。

そうなると、いろいろと不便や面倒がある。前の服が着られなくなる。会う人ごとに太ったと指摘される。すぐに疲れる(特に、脚)。

そんなわけで、ちゃんと運動をすることに決めた。定期的にジムに通い、定められたコースに従って、ストレッチ、筋トレ、有酸素運動の順で運動を行う。ジムにはしっかりした測定機が置いてあるので、マメに測り、Excelで変化を追いつつ分析したりもしている。そして、ときどきはジムのスタッフに相談している。

昨年8月から、5か月ほど頑張った結果。

○12キログラム近く体重が減った。(それでも、学生時代の自分にはまだ程遠いのだが・・・。)
○そのうち脂肪の減少が73パーセント程度。(前回の食事制限では70%程度だった。)
○また、筋肉の減少が15パーセント程度。(単に減らすだけでは体重減少分の30パーセントくらいの筋肉が減るという。)
○ウエストが9センチメートル程度減った。

食事は、炭水化物を取る量をやや減らしているくらいである(もちろん、夜中に空腹のあまり何か食べるとか、大盛りを注文するとか、そんなことは控えている)。ラーメンなども結構食べている。飲みに行けば我慢せずに食べる。要は、ストレスがまるでたまらない。

単なる体重減少に伴って筋肉が減る(30パーセント程度)のは、重たいものを支えなくてよくなるからだ。しかし、リバウンドしにくいようにするためには、筋トレが必要である(エネルギー収支が異なってくる)。有酸素運動の前にひととおりこなしていたため、それなりに筋肉の減少を抑えることができているのだろう。週明けはいつも筋肉痛であり、また、実際に減った感覚はない。そして、ある時期からはほぼ一定値を保っている。

さらなる良い方法を求めて、桜井静香『ジムに通う前に読む本』(講談社ブルーバックス、2010年)を読んでみた。

 

いろいろな発見があった。

○ジムの筋トレ機には、20-30回反復して「つらい」と感じるような負荷にするよう書いてある。しかし、本書によれば、その限界の反復回数によって目的が違うという。1-12回が「筋力アップ」、12-25回が「筋持久力アップ」、それ以上がただの「フォームの習得」。つまり、シェイプアップや初心者が慣れるためであればよいが、筋肉量を気にするのであれば、12回以上反復できないくらいの重い負荷に設定しなければならない。
○「歳を取るとともに、筋肉痛が遅れてやってくるようになる」という仮説には科学的根拠がない。統計的には、個人差があるに過ぎない。
○筋トレには「超回復」というメカニズムがある。筋トレで消耗した筋肉が回復し、もとのレベルを超えた時点で次の筋トレを行うと効果的であるというものであり、その回復期間は次第に短くなっていく。理想的には週に2-3回の筋トレがよい。(※勤め人にはなかなか難しい)
○筋トレ初心者にとって、最初の効果が出てくるまで3か月くらいかかる。(※確かに、頑張っても筋肉量増加に結び付かない時期があった)

そんなわけで、先週末にジムに行ったときには、筋トレの負荷設定を高めにしてみた。ジムのスタッフも、今後は10回反復にしようと助言をくれた。さて効果はいかに。

ところで、わたしは頻繁に海外出張に行っており、土日にジムに行けないことが少なくない。海外のビジネス用のホテルには、フィットネスセンターが設置してあるため、せめて有酸素運動だけはしようと心がけている。

ところが奇妙なことに気が付いた。日本のジムにおいて、クロストレーナーで1時間程度運動を行うと、方法にもよるが、およそ500キロカロリーを消費する。しかし、タイでもインドネシアでもミャンマーでも、なぜか同じやり方なのに750キロカロリーくらいは消費したことになってしまう。なぜなのかまだわからない。

●参照
納豆ダイエット、キャベツダイエット、ダイオキシン