Sightsong

自縄自縛日記

本田珠也SESSION@新宿ピットイン

2014-01-21 23:38:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

2014年1月21日、新宿ピットイン。

本田珠也(ds)
近藤等則(electric tp)
灰野敬二(g, noise, fl, vo)
ナスノミツル(b)

誰もが驚きの声をあげるに違いないメンバー。

ウルトラマン vs. 仮面ライダー、ゲスト・ハヌマーン。誰が誰だ。いや、灰野敬二はババルウ星人か。

想定外の音ではないのだが、すさまじいパフォーマンスだった。説明不要、ではなく、説明不能。まだ耳鳴りがする。

>> 写真(新宿ピットインによる)


外村大『朝鮮人強制連行』

2014-01-21 07:50:11 | 韓国・朝鮮

外村大『朝鮮人強制連行』(岩波新書、2012年)を読む。

著者によれば、この加害の史実を否定する者にはもちろん、誠実に向き合おうとする者にも、事実誤認や勘違いが多いという。行政の決定、通牒、基本法令、関係者の証言など、基本的な史料から、その史実を再検討した結果が本書である。

日本占領下の朝鮮においては、人口の多くは都市以外に暮らし、相当に農業の比率が高かった(1940年において、戸数ベースで69%)。また就学率も日本語理解率も極めて低かった。日本の「内地」への農産物生産を期待し、かつ日本語環境下での労働が厳しいことを鑑みれば、もとより「内地」の労働力として考えることには矛盾があった。

戦前は、確かに、「内地」での朝鮮人労働に対して、政府も産業界も積極的ではなかった。「内地」の日本人の雇用のほうが重要視されたわけである。朝鮮には、職を求めて日本に渡ろうとする者も少なくはなかった。

ところが、米国からのエネルギー資源輸入がストップされると、状況は大きく変わっていく。戦争においてインドネシアなどの「南方」を侵略したのは、決してアジア解放などのためではなく、資源獲得のためであった。「内地」においても、とにかく石炭を生産しなければならない。そして、言うまでもなく、当時の炭鉱は、おそるべき劣悪な労働環境にあった。朝鮮人に押し付けられたのは、主に、これなのだった。

日本では、問題があったにせよ、職業紹介所などを通じて、地域の状況を考えた人員の「徴用」がなされた。一方、朝鮮においてはそのような体制はない。したがって、地域の状況をまるで鑑みず、農村から暴力的に労働者を連行することになっていった。はじめは企業主導のかたちを是認し、やがて政府として構造的に。

著者によれば、朝鮮人は「徴用」からも差別されたのだという。「徴用」は、労働先の選定や、労働力が欠けたことへの補償など、それなりの対策が取られる。しかし、強引に最劣悪の労働を押しつけ、相手の被害も考えないということであれば、「徴用」する必然性はない。そして斡旋は事実上の強制であった。

炭鉱労働は凄惨を極めた。逃亡率が高かったため、監禁も行われた。短期労働として都合よく連行してきて、契約期間が終了すると、強制的に延長させたりもした。周囲の日本人の目には、差別的なものが多かった。酷い状況であることが朝鮮にも伝わり、農村において対象者がかくれたりすると、その者たちを「狩る」ことが横行した。地獄そのものだ。

「民主主義を欠いた社会において、十分な調査と準備をもたない組織が、無謀な目標を掲げて進めることが、もっとも弱い人びとを犠牲にしていくことを示す事例として、奴隷的な労働を担う人びとを設定することでそれ以外の人びともまた人間らしい労働から遠ざけられるようになっていった歴史として記憶されるべきである。」

●参照
植民地文化学会・フォーラム『「在日」とは何か』(外村氏の報告)
波多野澄雄『国家と歴史』(戦後の扱い)
熊谷博子『むかし原発いま炭鉱』(強制連行した炭鉱の実態)
熊谷博子『三池 終わらない炭鉱の物語』(強制連行した炭鉱の実態)