新宿の模索舎に立ち寄ったところ、気になる薄い写真集があった。
陳偉江(Chan Wai Kwong)という香港の写真家による『001-023』(Kubrick、2013年)。
香港の路地、汚い貼り紙、タトゥー、風俗嬢、蠢くひと、野良猫、汚物。
安部公房ならばもっと覗き見の視線になったはずだ。森山大道ならば、気弱に、かつ粘着質に、闇を闇としてとらえたはずである。
別に、悪意や邪念を漲らせているわけでもない。この写真群がすべてを明け透けにさらけ出しているわけでもない。写真家は淡々として、香港を破りとったのではないだろうか、などと思わせる。
本人のウェブサイトを見ると、さらに抑圧された欲望、しかも淡々と見るそれが展開されていて、ちょっと動揺してしまう。
作品はほとんど香港で公表されているが、2011年にはガーディアン・ガーデンでも紹介されたようだ。ぜひ、どこかのギャラリーでまとめて作品を展示してほしい。