張芸謀『至福のとき』(2000年)を観る。なお、Youtubeのポルトガル語字幕版だが、自動的に指定する言語に翻訳してくれる機能を使った。確かに微妙な日本語になるが、意味はわかる。便利な時代になったものである。
中国・大連。おじさんはお見合いを成功させようとして、持参金を用立てなければならなくなった。友達に相談して、近くの丘の上にあった廃バスを塗装してホテルにしようとするが、あっさりと撤去される。お見合い相手の家には、スポイルされた馬鹿息子と、前夫の連れ子の娘がいた。娘は目が視えないうえに、義母に邪険にされている。おじさんは、何とか娘の居場所を作ってやろうとして、廃工場の中にどんがらのマッサージ店を作り、娘にそこで働いてオカネを稼いでいると信じ込ませる。しかし、騙しとおすことなどできなかった。
おじさんをはじめ、登場する俳優たちに実に味がある。仲間たちと、娘を大事にしながら騙そうと奮闘する姿は、一級の悲喜劇だ。なかでも、マッサージベッドでうつ伏せになって顔を置く穴を大きく作り過ぎて、客を装った仲間たちが穴に頭を落ち込ませる場面など、もう爆笑。チャン・イーモウはこんなコメディも巧いんだな。
物語は、ええっこの後どうなるのか、という驚きとともに終わる。カタルシスのような悲劇にしなかったのはイーモウの見識か。
おじさんは娘にハーゲンダッツを買ってやろうとして、25元(当時330円くらい)と聞いてビックリし、引き返す
●張芸謀
『紅いコーリャン』(1987年)
『菊豆』(1990年)
『紅夢』(1991年)
『活きる』(1994年)
『上海ルージュ』(1995年)
『初恋のきた道』(1999年)
『HERO』(2002年)
『LOVERS』(2004年)
『単騎、千里を走る。』(2006年)
『サンザシの樹の下で』(2010年)