クリス・デイヴィスの2枚を取っ換え引っ換え聴く。
■ 『Rye Eclipse』(fresh sound new talent、2007年)
Kris Davis (p)
Tony Malaby (sax)
Eivind Opsvik (b)
Jeff Davis (ds)
トニー・マラビーのサックスには、樹皮だけが残った巨木のような印象がある。中心となる音を朗々と吹き切るのではなく、ノイズや装飾音によってこそ成り立っているような。したがって、存在感はあるのだが幽霊のようでもあり、フシギである。いちどは生でプレイを観てみたい人。
これに対して、クリスタルのお城を設計・構築するような理知的なクリス・デイヴィスのピアノ。
■ 『Capricorn Climber』(cleanfeed、2012年)
Kris Davis (p)
Mat Maneli (viola)
Ingrid Laubrock (sax)
Trevor Dunn (b)
Tom Rainey (ds, glockenspiel)
マラビーと対照的に聴こえなくもない、イングリッド・ラウブロックのサックス。この人は樹皮ではなく幹そのものだ。しかも音の表情が豊かで、耳を傾けるほどじわじわとそれが鼓膜から脳に滲みてくる。
このセッションでは、五者五様であり、それが面白いのだが、なかでもマット・マネリのヴィオラがイニシアチブを取っているような印象がある。
クリス・デイヴィス、2014年6月
●参照
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone
トニー・マラビー『Adobe』、『Somos Agua』
トニー・マラビー『Paloma Recio』
イングリッド・ラウブロック『Zurich Concert』
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』