谷中のSCAI THE BATHHOUSEに足を運び、アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展『Fireworks (Archives)』を観た。
同名の映像作品が中心となった展示である。
タイ北部、ラオスとの国境近くにあるノンカイ。アピチャッポンによる『ブンミおじさんの森』(2010年)の舞台も、ラオスから働き手が来る、このあたりの森の中だった。『Fireworks (Archives)』では、夜、花火や人工的な閃光により、不連続的に、寺院のオブジェや彷徨う人びとを浮かび上がらせている。
石で出来たオブジェには、さまざまなものがある。象、犬、猿、よくわからない生き物。それらは、おそらくは民間信仰の対象であり、またおそらくは中央に抑圧された人びとの表現の場である。森と人びとの息遣いとともに、潜在的な叫びが鮮烈に提示されているように思える。