Sightsong

自縄自縛日記

ヨハネス・ウォールマン『The Town Musicians』

2015-07-16 23:39:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

ヨハネス・ウォールマン『The Town Musician』(Fresh Sound、2013年)を聴く。

Johannes Wallman (p)
Gilad Hekselman (g)
Russ Johnson (tp)
Sean Conly (b)
Jeff Hirshfield (ds)
Dayna Stephens (ts)

何しろ全員のプレイが綺麗すぎて、ニュートリノのようにまったく反応せずに耳と脳を通過してしまう。2曲にのみ参加しているデイナ・スティーブンスを聴きたさに入手したようなものなのだが、そのデイナもニュートリノ化。かれには混濁して熱い場所のほうが似合うような・・・。

いや、よく聴くとみんなそれなりにカッコいいのだが、どうも、はみ出したりおかしいことをしていたりしなければどこにも引っかからない模様。最近、トマトやアロエやオレンジで少しだけ味を付けたミネラルウォーターをよく飲むのだが、それに近い印象である。それに比べれば、たとえば、ハービー・ハンコック『Maiden Voyage』などはいまだに鮮烈で、ミネラルウォーターなどではなくキンキンに冷えた旨い井戸水。

もうちょっと物分かりがよくなったらふたたび聴こう。

●参照
ジョン・エイベア@The Cornelia Street Cafe(2015年)(デイナ・スティーブンス参加)
デイナ・スティーブンス『Peace』(2014年)
テオ・ヒル『Live at Smalls』(2014年)(デイナ・スティーブンス参加)
デイナ・スティーブンス『I'll Take My Chances』(2013年)
デイナ・スティーブンス『That Nepenthetic Place』(2010年)


富樫雅彦『風の遺した物語』

2015-07-16 09:51:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

ふと思い出して、LP棚から、富樫雅彦『風の遺した物語』(Columbia、1975年)を取り出して聴く。

富樫雅彦 (perc)
高木元輝 (ss, perc)
池田芳夫 (b, perc)
翠川敬基 (cello, b)
豊住芳三郎 (perc)

一聴すると題名通りの爽やかな音楽だ。しかし、それなりの音量で、場を共有する感覚でじっくり聴いてみると、これは「爽」などではなく「狂」であることが否応なく伝わってくる。

リズムの創出を率いるのは、当然、富樫雅彦。妖刀の切れ味を持つ本人のパーカッションだけでなく、翠川敬基を除く全員と、場合によっては録音スタッフまでもがパーカッションや鈴を持ち、同時多発的、分散的な複合リズムを創り出す。それは静かな狂える祭なのであって、その中心に、服を着たパーカッションこと富樫雅彦が座っている。そして、どこからともなく聞こえてくるような高木元輝のソプラノ。

●参照
富樫雅彦が亡くなった(2007年)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』(2000年)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(1979年)
富樫雅彦『かなたからの声』(1978年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976、74年)
小川紳介『1000年刻みの日時計-牧野村物語』(1968年)(富樫雅彦のパーカッション・ソロ)