Sightsong

自縄自縛日記

広瀬淳二『SSI-5』

2015-07-28 07:19:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

広瀬淳二『SSI-5』(Hitorri、2014年)を聴く。

広瀬淳二 (self-made sound instrument, version 5)

タイトルは「自家製楽器その5」の頭文字である。43分の間、おそらくはマルセル・デュシャンのレディメイドを思わせる車輪状の何やらを使った演奏である。わたしが広瀬さんのプレイを初めて目にしたのは、もう20年くらい前、サックスではなく、この自家製楽器であった。呆然としていたので音は記憶にないのだが、そうか、こういう音だったのか。最近(2012年)、広瀬さんのサックスを聴いたときに自家製楽器のことを訊いてみると、CD『the elements』に、サインのかわりにそのイラストを描いてくださった。

それにしても、最初から最後まで、工事現場か飛行場か地下室にいるようだ。風なのかダクトの吸気の音なのか、機械の音か離着陸の音なのか、排水管の音か鼠が駆ける音なのか。有象無象をともかくも身体化し、環境化する。それは同時に様々な音を発する氏のサックスと同じである。そして演奏が終わると、またこの現場に戻りたくなってリピートする。

●参照
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)