先日、不破大輔さんが仰天する録音を送ってくださった。2000年頃、高木元輝の横浜エアジンでのライヴ。不破さんが小山彰太さんと車中でこの音源を聴いていて、やはり凄いという話になったという代物だ。
高木元輝 (ts)
不破大輔 (b)
小山彰太 (ds)
調べてみると、おそらく2000年4月21日。だとすると、わたしはその翌日、渋谷7th Floorにて高木元輝のプレイを観ている(ドラマーは大沼志朗さんだった)。最晩年の貴重きわまりない記録であり、この頃の演奏は、翌年同メンバーで録音された『2001.07.06』(地底レコード)が出されているのみ。
イヤホンで大音量で聴くと、いや、血が沸騰して血圧が急上昇する。「Lonely Woman」を引用しながらの、紛れもないアジアン・ブルースである。不用意にアジアだとか民族だとかに結び付けるのは安易、ならば、東アジアの人である高木ブルース。豪雨のあとの泥流だ。底知れない深みがあって、絶望や叫びが込められているようでもある。不破さんの同音でグイグイと駆動するベースも、独立国家を創り出し続ける小山彰太節のドラムスも素晴らしい。電話の音やヒソヒソ話には妙な臨場感があって、エアジンに座っているような気がする。
●参照
高木元輝の最後の歌(2000年)
1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
不破大輔@東京琉球館(2015年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(不破大輔参加)
『RAdIO』(不破大輔参加)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(小山彰太参加)