ペーター・ブロッツマン+フレッド・ホプキンス+ラシッド・アリ『Songlines』(FMP、1991年)を聴く。
Peter Brotzmann (tarogato, as, ts)
Fred Hopkins (b)
Rashid Ali (ds)
ラシッド・アリのドラムス、フレッド・ホプキンスのベースに続いて、おもむろにペーター・ブロッツマンが入ってくる。「ヌウェー」というか、「ンヲー」というか、濁った音のビブラートの奔流なのである。ときには「ブギョー」という叫び。いつも同じなのではあるが、濁りと歪みとを吐き出した途端に、ブロッツマンだけが展開できるブルースとなる。
ここで組んだメンバーはみんな向いている先が異なるようで、それがまたいい。この三者が絡むことの快感といったらない。どの楽器に耳を貼り付けても、他の二者が別のあり様で近づいてくる。
ホプキンスのベースは中音域で上品に倍音を聴かせてくれる。デイヴィッド・マレイとともに来日したとき、わたしはひどい風邪で駆けつけられず、その後亡くなった。
また、アリのドラムスは、ジョン・コルトレーンの最後のグループでも、アリス・コルトレーンのグループでも、「Prima Materia」などでも、もちろんここでも、うねりのたくりながら、爆竹を鳴らしながら、昇竜のように天に向かい続ける。この人も、実際のプレイを観ることができず、数年前に鬼籍に入ってしまった。
●参照
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(2011年)
『BROTZM/FMPのレコードジャケット 1969-1989』
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(ブロッツマン参加)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(ブロッツマン参加)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』
ペーター・ブロッツマン
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(ブロッツマン参加)
マッコイ・タイナーのサックス・カルテット(デイヴィッド・マレイ『Special Quartet』、1990年)(ホプキンス参加)
デイヴィッド・マレイの映像『Live at the Village Vanguard』(1986年)(ホプキンス参加)
ヘンリー・スレッギル(9) 1978年のエアー(ホプキンス参加)
ヘンリー・スレッギル(7) ズォイドの新作と、X-75(ホプキンス参加)
”カラパルーシャ”・モーリス・マッキンタイアー『Forces and Feelings』(1970年)(ホプキンス参加)
ラシッド・アリ+ペーター・コヴァルト+アシフ・ツアハー『Deals, Ideas & Ideals』(2000年)
プリマ・マテリア『Peace on Earth』、ルイ・ベロジナス『Tiresias』(1994、2008年)(アリ参加)
ジェフ・パルマー『Island Universe』(1994年)(アリ参加)
アリス・コルトレーン『Universal Consciousness』、『Lord of Lords』(1971、1972年)(アリ参加)
アリス・コルトレーン『Huntington Ashram Monastery』、『World Galaxy』(1969、1972年)(アリ参加)
ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ(1967、1972年)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(1965年、1995年)(アリ参加)