ポール・ブレイ『Barrage』(ESP、1964年)を聴く。
Marshall Allen (as)
Paul Bley (p)
Milford Graves (perc)
Dewey Johnson (tp)
Eddie Gomez (b)
短いテーマらしきもののあと、マーシャル・アレンのアルトが前面に傾奇ながら出てきて、引っ掻くような音にてジャンプする旋律のソロを取る。続いてデューイ・ジョンソン、勢いはよかったが最後は萎むようにソロを終えて、そしてポール・ブレイ。最初のところから強引にテンションが引き上げられてしまう。
このセッションのちょっと前、『Complete Savoy Sessions 1962-63』でもそうだったのだが、ブレイは既に30歳そこらで強靭なる自身と化しており、美しいフレーズで腐敗手前のあやうさを見せる。こんな暴力的な面々と一緒にプレイしながら、随所で妖しくエロチックに光るピアノが介入してくる。
どうしようもなく目立つ存在がミルフォード・グレイヴスであり、かれのパーカッションは原始の祝祭のように荒い。おそらくは身体を大きく揺らしながら発せられる不定形のパルスが、聴く者のボディをあらゆる方向から叩き、脳蓋を揺さぶり続ける。
●参照
ポール・ブレイ『Solo in Mondsee』(2001年)
ポール・ブレイ『Homage to Carla』(1992年)
ポール・ブレイ『Plays Carla Bley』(1991年)
ポール・ブレイ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Memoirs』(1990年)
イマジン・ザ・サウンド(1981年)(ポール・ブレイ参加)
ポール・ブレイ『Complete Savoy Sessions 1962-63』(1962-63年)
アレン/ドレイク/ジョーダン/パーカー/シルヴァ『The All-Star Game』(2000年)
サン・ラの映像『Sun Ra: A Joyful Noise』(1980年)(マーシャル・アレン参加)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(1965、95年)(デューイ・ジョンソン参加)
ミルフォード・グレイヴス+ビル・ラズウェル『Space / Time * Redemption』(2013年)
デイヴィッド・マレイ『Saxophone Man』(2008、10年)(ミルフォード・グレイヴス参加)
ブラクストン、グレイヴス、パーカー『Beyond Quantum』(2008年)
ローウェル・デヴィッドソン(1965年)(ミルフォード・グレイヴス参加)
『Tribute to John Coltrane』(1987年)(エディ・ゴメス参加)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』(1978、83年)(エディ・ゴメス参加)