Sightsong

自縄自縛日記

ヘンリー・グライムス『Live at the Kerava Jazz Festival』

2016-04-17 23:22:32 | アヴァンギャルド・ジャズ

ヘンリー・グライムス『Live at the Kerava Jazz Festival』(ayler records、2004年)を聴く。実はしばらく探していて、最近ようやく見つけた。

Henry Grimes (b)
David Murray (ts, bcl)
Hamid Drake (ds)

ここではデイヴィッド・マレイ、ハミッド・ドレイクと、一騎当千の剛の者3人による剛の演奏。しかし、強調しすぎてもし過ぎないくらいだが、主役は、間違いなくヘンリー・グライムスである。

かれのベースは大きなハンマーのように滅茶苦茶に重たい。まるで、顔色を変えずにそれで地面を叩き続け、共鳴させているような音である。剛毛が生えているように音色がささくれており、他の何者が触っても変えられない残響もある。はじめてグライムスのプレイを観たとき、ステージからこの恐竜の足音が聴こえて口を開けてしまった記憶がある。

マレイもまだまだ逞しい。グライムスに決して負けることなく、がっぷり四つで、テナーとバスクラを疲れることなく吹いている。長い2曲のあとに、名曲「Flowers for Albert」を吹き始め、ノリノリになって、グライムスもそれに追随する展開など、思わずぞくぞくさせられる。(で、マレイはいつから味わいオヤジになってしまったのだろう・・・。)

●参照
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)(ヘンリー・グライムス参加)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)(ヘンリー・グライムス参加)
マーク・リボーとジョルジォ・ガスリーニのアルバート・アイラー集(1990、2004年)(ヘンリー・グライムス参加)
スティーヴ・レイシー『School Days』(1960/63年)(ヘンリー・グライムス参加)
デイヴィッド・マレイ+ジェリ・アレン+テリ・リン・キャリントン『Perfection』(2015年)
デイヴィッド・マレイ・ビッグ・バンド featuring メイシー・グレイ@ブルーノート東京(2013年)
デイヴィッド・マレイ『Be My Monster Love』、『Rendezvous Suite』(2012、2009年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』(2009年)
デイヴィッド・マレイの映像『Saxophone Man』(2008、2010年)
デイヴィッド・マレイ『Live at the Edinburgh Jazz Festival』(2008年) 
デイヴィッド・マレイの映像『Live in Berlin』(2007年)
マル・ウォルドロン最後の録音 デイヴィッド・マレイとのデュオ『Silence』(2001年)
デイヴィッド・マレイのグレイトフル・デッド集(1996年)
デイヴィッド・マレイの映像『Live at the Village Vanguard』(1996年)
ジョルジュ・アルヴァニタス+デイヴィッド・マレイ『Tea for Two』(1990年)
デイヴィッド・マレイ『Special Quartet』(1990年)


ジャグアー・ライト『Devorcing Neo 2 Marry Soul』

2016-04-17 09:11:56 | ポップス

テリ・リン・キャリントン『The Mosaic Project: Love and Soul』で予備知識なく接して、獣のような存在感にたじろいでしまった歌手のジャグアー・ライト。気になって、『Devorcing Neo 2 Marry Soul』(Artemis Records、2015年)を聴く。

いやなんというか、自らむしり取るようにして、喉を絞るように鳴らす声が凄い。ずいぶん際どい歌詞もあったり、俗っぽい歌詞もあったり。獣と性を前面に押し出していて、ほとんど威圧される。濃密すぎて、またダイレクトすぎて、まあわたしには百年早い。あるいは百年手遅れだ。

たしかにテリ・リンのアルバムのように、ジャズのサウンドの中で聴きたいところ。

●参照
テリ・リン・キャリントン『The Mosaic Project: Love and Soul』


『秘宝感』

2016-04-17 07:50:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

『秘宝感』(Roving Spirits、2010年)。

斉藤良 (ds)
纐纈雅代 (as)
スガダイロー (p)
佐藤えりか (b)
熱海宝子 (秘)

改めて聴いてみても、斉藤良のドスドスシュパシュパとグルーヴ感満点のドラムスも、蛇のように絡みつくスガダイローのピアノも、ブキブキと入ってきて吹きまくる纐纈雅代のアルトも全部いい。熱海宝子 (秘)の喘ぎ声は、再生音源では恥ずかしいので勘弁してほしいのではあるが。

数年前に「昼ピで昼ビ」というキャッチコピーとともに、新宿ピットイン昼の部でライヴをやっていた。いちどだけ観に行った。淫靡でパワフルで、ひたすら愉しかった。そのとき、写真家の加納典明さんが熱海宝子を撮りに来ていて(α7が出る前のソニーのミラーレスだった)、熱海宝子がエロく迫ると「それかよ!」。事件は演奏後に起きた。リーダー・斉藤良さんがメンバー紹介のあとに、「写真!****!!」(沈黙)と・・・。(「加納典明・篠山紀信事件」)

加納さんのブログには、その事件のことは触れられていなかったが、独特の言い回しで「もっと外れて唯我独尊界音をと感じた、イメージに形等無いのだが、何か決定的な客を何らかのフォームで打ち崩すようなタッチが必要だな、客とは全てマゾなる群れでしかない」と書いており、まだまだ尖っているのだなと嬉しくなった。そういえば、昨年、氏が行った三里塚の写真展には、残念ながら行くことができなかった。
http://tenmeikanoh.com/blog/?p=707

秘宝感はいま「休感中」。

●参照
秘宝感とblacksheep@新宿ピットイン(2012年)
板橋文夫+纐纈雅代+レオナ@Lady Jane(2016年)
纐纈雅代『Band of Eden』(2015年)
纐纈雅代 Band of Eden @新宿ピットイン(2013年)
鈴木勲セッション@新宿ピットイン(2014年)(纐纈雅代参加)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)(纐纈雅代参加)
秘宝感とblacksheep@新宿ピットイン(2012年)(纐纈雅代参加)