Sightsong

自縄自縛日記

グレッチェン・パーラトの映像『Poland 2013』

2016-04-29 11:04:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

グレッチェン・パーラトのDVD『Poland 2013』を観る。(御茶ノ水のJANISで500円で発見した。)

Gretchen Parlato (vo, perc)
Alan Hampton (b, g, vo)
Aaron Parks (p)
Mark Guiliana (ds)

マーク・ジュリアナ(グレッチェンの夫)のドラムスが目当てだったのではあるが、グレッチェンのヴォイスに惹かれる。パーカッションを鳴らしながら歌うリズム感が抜群で、声も囁くようでありながら、決して脱力しているわけではなく、実に繊細。しかも、ハービー・ハンコックの「Butterfly」やウェイン・ショーターの「Juju」までさらりと自分流にしてしまったりして。

スタンダードの「Like Someone in Love」も素敵なのだが、これはアーロン・パークスのピアノとのデュオであり、やはりジュリアナとの共演のほうが嬉しい。そんなわけで、ジュリアナのドラムスが決してデジタル的イケイケなどではなく、歌伴もとても巧いことを発見したのだった。

●参照
マーク・ジュリアナ@Cotton Club(2016年)
デイヴィッド・ボウイ『★』(2015年)(マーク・ジュリアナ参加)
ダニー・マッキャスリン@55 Bar(2015年)(マーク・ジュリアナ参加)
マーク・ジュリアナ『Family First』(2015年) 
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)(マーク・ジュリアナ参加)
ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(2012年)(マーク・ジュリアナ参加)
アンブローズ・アキンムシーレ『Prelude』(2008年)(アーロン・パークス参加)


セシル・テイラー『Live at the Cafe Montmartre』

2016-04-29 09:13:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

セシル・テイラー『Live at the Cafe Montmartre』(Debut、1962年)をあらためて聴く。

Cecil Taylor (p)
Jimmy Lions (as)
Sunny Murray (ds)

これが録音されてからもう50年以上が経っているわけだが、いまだに、鮮烈さとオリジナリティとがどうしようもなく残っている。セシル・テイラーによるクリスタルの大伽藍に接すると、その鮮やかさに加え、知的体力と持続力とに圧倒されてしまう。耳を傾けるともはや音から耳をひき剥がすことが困難になり、ひたすら動悸を覚えながら聴き続けなければならなくなる、という・・・。

サニー・マレイのシンバルを多用したパルスも素晴らしい。かれはどのようにこのスタイルに到達したのだろう。そして、ジミー・ライオンズのプレイに、実はバップの尻尾が見え隠れすることも再発見だった。

●セシル・テイラー
セシル・テイラー+田中泯@草月ホール(2013年)
ドミニク・デュヴァル セシル・テイラーとの『The Last Dance』(2003年)
セシル・テイラー+ビル・ディクソン+トニー・オクスレー(2002年)
セシル・テイラーの映像『Burning Poles』(1991年)
セシル・テイラー『The Tree of Life』(1991年)
セシル・テイラー『In Florescence』(1989年)
1988年、ベルリンのセシル・テイラー
イマジン・ザ・サウンド(1981年)
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(1979~1986年)
セシル・テイラー『Michigan State University, April 15th 1976』(1976年)
セシル・テイラー『Dark to Themselves』、『Aの第2幕』(1969年、76年)
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ(1968年)
セシル・テイラー初期作品群(1950年代後半~60年代初頭)


渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン

2016-04-29 07:40:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿の模索舎で本を買って、もう仕事でヘトヘトだしナルシスかゴールデン街のシラムレンか裏窓にでも行ってゆっくり酒を飲もうかと思っていたのだが、そういえば渋オケの日。それなのに新宿ピットインの横を通り過ぎるのは人の道に背くことである。そんなわけで、耐えられず、2年ぶりの渋オケ。

渋谷毅 (p, org)
峰厚介 (ts)
松風鉱一 (bs, as, fl)
林栄一 (as)
津上研太 (as)
青木タイセイ (tb)
石渡明廣 (g)
上村勝正 (b)
外山明 (ds)

入るとちょうど「Side Slip」(石渡)が始まったばかりで、松風さんがバリトンを吹いていた。上村さんは既に前傾姿勢でノリノリのベースで煽っていて、もはや川端民生時代とは違うバンドとなっている。そのことはドラムスの外山さんにも言うことができて、この確信犯的変拍子が、古澤良治郎時代とは違う強烈な色をオケに付けている。

そのあとは、「Ballad」(石渡)。林さんのアルトの音圧と外れっぷりに威圧される「Reactionary Tango」(カーラ・ブレイ)、津上さんの透徹するソプラノがいい「Three Views Of A Secret」(ジャコ・パストリアス)、「Chelsea Bridge」(ビリー・ストレイホーン)、そしてディキシーランドの「Jazz Me Blues」。

そもそも20代のころに渋オケを聴いたショックがあって、その勢いで、松風さんに師事したのだった(何にもならなかったが)。当時よりも個々の迫力が増して、いまや誰もが躊躇うことなく全力で剛球を投げ込むという怖ろしいグループになっている。そんなわけで、松風さんにご挨拶をするとまた旅の話。

セカンドセットは、ちょっと珍しいデューク・エリントンの曲「Sonnet for Sister Kate」と「Such Sweet Thunder」からはじまり、「もはやちがう町」(石渡)。次の「Brother」(林)においてようやく渋谷さんは立ってカッチョいいオルガンを弾き、松風さんのフルートソロも素晴らしかった。それから、「Soon I Will Be Done With The Trouble Of The World」(カーラ・ブレイ)、ユニークさゆえ皆がニヤニヤしてプレイする「Aita's Country Life」(松風)、「A New Hymn」(カーラ・ブレイ)、最後は渋谷さんのピアノソロで「Lotus Blossom」(ビリー・ストレイホーン)で締めくくるいつものやり方。

いつも同じなのにいつも違う渋オケ。疲れとストレスとがどこかに消えた。

●参照
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
渋谷毅のソロピアノ2枚
見上げてごらん夜の星を
浅川マキ『Maki Asakawa』
浅川マキの新旧オフィシャル本
『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -bootlegg- 』
『ちょっと長い関係のブルース 君は浅川マキを聴いたか』
浅川マキが亡くなった(2010年)
浅川マキ DARKNESS完結
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(浅川マキとの共演、2002年)
浅川マキ『闇の中に置き去りにして』(1998年)
浅川マキ『アメリカの夜』(1986年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
浅川マキ『幻の男たち』 1984年の映像
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
オルトフォンのカートリッジに交換した(『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏者たちのOKをもらった』、1980年)
『恐怖劇場アンバランス』の「夜が明けたら」、浅川マキ(1973年)
宮澤昭『野百合』