カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』(新潮文庫、原著1946年)を読む。
アメリカ南部の田舎町。12歳の少女フランキーは、短髪で肘は汚れてがりがり、背が不安になるくらいの勢いで伸びていて、ガサツ。子どもの癖に(子どもだからというべきか)、自分の存在意義を見出すためにエキセントリックな言動を繰り返している。そして、自分の街を出ていくのだという妄想に憑りつかれ、現実性がまったくないにも関わらず、自分の想いに執着する。
フランキーは、もはや自分の土地からは解き放たれたのだと思い望み、街をうろつく。そうすると、まったく無縁であった大人たちと、突然、精神の「関係」が生まれることになる。過ぎ去る時間と、それに対する無力感のようなものがもたらす人間の変化が描かれる。
このあたりの転換は見事であり、(わたしは女子であった経験を持たないが)共感し、わかる、わかると言いたくなってしまう。